川北英隆のブログ

バス旅番組への評価の大外れ

今日、飲み会があった。「面白かったな」と思って宿泊地にたどり着き、ネットを開けると、気になる題名のニュースがあった。「日本の田舎ってほんとにいやだ」とある。「何や、こりゃ」と思って、つい開けてしまった。
文春オンラインの記事とのこと。正式の題名は「日本の田舎ってほんとにいやだ・・『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』の進化に思う」である。そもそも、テレビで放送されているローカル路線バス旅が、新しいバージョンになって進化しているなんて、信じられないお言葉である。
1回だけ、新しいバージョンを見たことがある。と、やる気のなさそうな男2人が歩いている。その姿を見て、すぐにチャンネルを切り替えようとしたくらいである。当然、2度と見ていない。それを進化しているなんて、どうしたのか。今の日本に対する感覚というか、見識の決定的な差が筆者と僕の間にある。その差が、突拍子もない形で表れ、筆者の進化という「アンシンジラブル」な表現になったのだろう。
筆者曰く、「この番組を見るたびに『日本の田舎ってほんとにいやだ・・』という景色を見せつけられる」とのこと。この感想は日本の田舎の表面しか見ず、それを表面的に判断し、その結果を浅はかに書いたに過ぎない。筆者の名前をここに記すのも馬鹿々々しいので、サイトだけを載せておく。
http://bunshun.jp/articles/-/9389
認識しないといけないのは、悪いのは田舎ではなく、根本的に日本の政治だとの事実である。この認識をきちんと持っていなければ、人様向けに文章を書いてはいけない。
それが難題だとしても、少なくともこのくらいのコラムを書く者なら、海外旅行を経験して、海外の田舎というか地方の実態を見ているはずである。見ていないとすれば、やっぱりというか、そもそもスタート地点からして「書く資格があらへんやろ」である。
欧米の地方は日本ほど寂れていない。むしろ、見ているだけで美しい部分が残されている。それに比べて日本の地方には、都会人(多くは、似非都会人だと僕は思っているが)の目で見て、美しくない部分が多い。
でも、その責任を全面的に地方のせいにしたのではコラムニストではない。問わないといけないのは、最初に書いたように、誰が、どのようにしてこんな寂れた地方にしたのかである。それを問い、追及するのは、番組の性格上難しいのかもしれないが、多少皮肉を込めてコメントするくらいのことは許されるはずだ。
もう1つは、とはいえ、寂れた地方にも、何か光るものが残されている。旅をして、それを拾い出し、磨いて輝かせるのがテレビであり、登場者である。残念ながら、バス旅の新しいバージョンにはその能力がない。見ている者の視線を、だらしない2人のレギュラーに集中させるだけであり、おかげで地方がますますみすぼらしくなってしまう。
以上、同じことを繰り返して書いたようだ。「日本の田舎ってほんとにいやだ」と、地方を一方的に否定する者が許せなかったのだろう。同時に思うのは、「進化」なんて突拍子もなく高い評価からすると、このコラムニストはだらしない2人のレギュラーと同じ穴の狢かもしれない。というか、この評判の悪い新バージョンの関係者ではないのかとさえ思ってしまう。

2018/10/22


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