サザエさんではないが、子供の頃のわが家では、昼頃に重要な来客があると出前の寿司を取ることが多かった。ついでに子供の分も注文してくれた。その寿司の中で何が好きだったか。断然、アナゴである。ウナギの蒲焼き風のが、甘いタレとともに酢飯に乗っていた。
郡山の寿司屋は百嶋。今でもやっている風だが(土用の頃になるとウナギのポスターが貼られる)、「店主が野良や」とかで、大人になってから食べたことはない。子供の頃は生魚の少ない奈良としては美味かった。そこの海苔巻きが運動会や遠足の弁当だった。少し甘めだったが、その味を今でも覚えている。
先日、小豆島で食べたアナゴ丼にも、パリっと焼かれたアナゴ1匹分が何切れから刻まれ、甘いタレとともにご飯にまぶされていた。もう少しアナゴの量が多ければ言うことがなかった。
それにしても関東のアナゴは美味くない。寿司も煮たアナゴである。死んだ魚の恨みが漂っているような雰囲気である。天ぷらも関東に多いが好きでない。重すぎる。そんな姿を見る 度に「ウナギを煮たり、天ぷらにしたりして食べるのかいな」と思ってしまう。
関東のアナゴの種類が関西と違うのかなとも思ったが、どうも同じようだ。
家内は明石の焼きアナゴが大好物らしい。東京に住んでいる頃、なかなか食べられなかった。京都でもあまり見かけない。
小豆島からの帰り、姫路で乗り換えるのに時間があった。駅前の百貨店(山陽百貨店)に老舗のアナゴ屋があるというので寄った。家内は一目散にアナゴ屋に寄り、焼いたのを買った。その後は恍惚とした様子で、何も見ようとしなかった。
家で食べた。やはり美味かった。子供の頃に大好きだった寿司ネタを、贅沢にも、それだけで食べているようだった。
2018/11/11