川北英隆のブログ

カルロス・ゴーン事件の不可解

一昨日に勃発した日産の会長、カルロス・ゴーンの逮捕劇、いろんな情報が飛び交い、不可解になってきた。最初に「有価証券報告書の役員報酬虚偽記載」の容疑と聞いた時、「そんな単純なことが何故今まで判明しなかったのか不思議」と思った。これが第一印象だった。
役員報酬の金額を会長のゴーンが独断で決めていたとしても、社長が知らないのは変である。知らされないとしても、「教えろ」と言わなければならない。そうでなければ社長として怠慢というか、失格である。
よしんばゴーンが独断で決め、社長を含めて誰も知らないとしても、その報酬金額をゴーン自身が銀行窓口に振込依頼しに行くとは到底思えない。少なくとも事務処理、経理処理を日産の社員の誰かがしているはずである。その権限や体制を分離していないとすれば(複数のチェックが働いていないとすれば)、会社組織として失格だろう。
と、処理を依頼された社員は、ある日、有価証券報告書の金額を見て、「ゴーンの報酬ってこんなに少ないのかな」と疑問に思ってもいい。もっと言えば、監査法人の会計士が何も疑問に思わなかったのも変である。それとも、形式だけの監査しか行わなかったのか。
ある記事によれば、今年9月だったか、日産とルノーの経営統合(合併)をゴーンが推進しようとしたため、日産の経営陣が反発し、今回の事件の発端になったとある。これが本当だとすれば、日産の社長以下がゴーンの不正をこれまで黙認し(もしくは不正ではないと解釈をねじ曲げて)、長年処理を続けていたのかもしれない。そうだとすれば、今回の事件は大問題に発展しうる。
いずれにせよ、今回の事件は日産のガバナンス体制の欠陥(誰もゴーンの首に鈴を付けられない状態など)を露呈したとしか思えない。根の深い事件の予感がする。クワバラ、クワバラかな。

2018/11/21


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