日経のどこか忘れたが(調べると11/22の「大機小機」)、ふるさと納税の効果は税収を減少させるだけとあった。調べて出てきた文章を引用すれば、「税収を得るための方法としてあまりにも分かりやすい間違い」とか。この評価、局所しか見ない分かりやすい間違いの典型である。
ふるさと納税には、僕ももらっている御礼の品がある。その品を業者のサイトに掲載し、申込みがあれば調達し、配送するためのコストがかかる。このコスト分だけ、日本国内のネットの(支出を差し引いた)税収の合計額が減るのは明らかである。
でもと、ここで考えないといけないのは、御礼の品の波及効果である。
まず、御礼の品の関係者が潤う。つまり、従業員の給与か業者の利益が増えるから、その分、税収が増える。原材料などが輸入ならばともかく、それがないとすれば、御礼の品のコストは、日本の誰かの賃金や収益となり、その賃金や収益に税率を掛けた分だけ、国全体の税収入が増える。残りは従業員か業者の手元に残り、消費や投資に使える所得になる。
さらに、ここからがふるさと納税の本質である。従業員か業者の手元に残った所得は、地域全体の所得であり、それが投資や消費として使われる。このことで地域社会や経済が活性化する。地域の、減っている人口も下げ止まり、やがて増えるかもしれない。ほったらかしの自然も、適度な手入れがされるだろう。
逆に都市部の税収が増えても、それが無駄遣いされかねない。無駄遣いされれば、日本の都市部と地方とで、税という資源の配分が不適切になる。
ふるさと納税を単純な税収だけで計算するのは、へなちょこ有識者か学者がよく犯す「知ったかぶり」の間違いである。
1点付け加えておく。以上の単純な税収外の効果を最大限もたらすには、地域の特産品を御礼の品としてもらわないといけない。ビールなどの一般的に工業製品では効果が目減りする。
もちろん、何回も書くが、ふるさと納税は地域経済活性化の必要悪的な政策である。もっと抜本的な政策が望まれるのは当然である。
2018/11/23