川北英隆のブログ

峠を見下ろす来年の株価

来年の株価について某日経系のテレビで喋ることになった。年間の株価予想なんて僕にとって意味がないから、不思議なのだが。喋りが年末に放送され、日経ヴェリタスの記事になるとか。そのために、株価変動について2つばかり確認しておいた。メモしておく。
確認した1つは、年間の株価変動がどの程度か、その率である(値幅ではない)。
過去の月次の株価推移から計算すると、2000年代以降、20%近い。90年代には25%近かった。80年代は低く、15%を切っていた。
ここから、来年に関して20%程度上下に振れてもいい、つまり現在の水準と、来年の高値もしくは安値を比較した場合、その率が20%あったとしても自然だと考えられる。今の(年末の)日経平均株価が21,000円台だから4000円程度の幅となる。来年、17,000円にまで下がることがあるし、25,000円にまで上がることもあると計算できる。
なお、以上は厳密な計算ではない。本当は平均的な長期株価上昇率を加味しなければならないが、この点は議論しない。
もう1つ言えるのは、相場が下落過程にあれば変動率が大きい(1990年代の変動率が大きかった)こと、相場が上昇過程にあれば変動率が小さい(1980年代の変動率が小さかった)ことである。
株価が上昇すれば、投資家が少し慎重になり、無理に買い上がることはしない。とはいえ、買いそびれた投資家が下落を待つので、着実に下値を切り上げる。逆に株価の基調が反転、下落すれば、一斉に損切り、投げ売りが入るから、一気に株価が下がる。これが過去からのパターンである。以上から考えれば、来年の株価の基調がどうなるのかが重要である。
もう1つ確認したことは、長期的に見て、最近のアメリカの株価変動率が過去最低水準に近いことと、それが足元、徐々に上昇していることである。上で書いたように、変動率が低いのは株価の基調が強いことの反映、逆は基調が弱いことの反映だろう。この過去の経験則と、今のアメリカというか世界を取り巻く経済環境とを併せて考えれば、アメリカの株価の基調が反転したのかもしれない。
日本の株価変動はアメリカの株価変動を写し、かつ拡大する。とすれば、日本の株価の基調も反転したと考えるのが妥当ではないのか。
来年の株価は(すでにそうかもしれないが)、2000メートル級のピークを越し、峠に向かって下るイメージだろうか。どの程度下らないといけないのかは、常に立ち込める霧で見通せないものの、時たま訪れる霧の晴れ間から判断するかぎり、400メートルくらいの覚悟が必要かなと思える。

2018/12/15


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