大晦日、子供の頃は新しい年を迎えるためか、楽しかった。大人になるとどうでもよくなった。この歳になると、実は慌ただしいだけである。
今年の大晦日、久しぶりに奈良の実家に行った。掃除というか片付けをし、ついでに餅と蒲鉾を買おうとした。
餅はいつもの源九郎餅の中島、蒲鉾は山根である。中島は店を開けていたものの、山根は休んでいた。年末が最大の時期なのだろう、餅は人の出入りが慌ただしかった。一方の蒲鉾、大晦日なんかに支度をする家もない。やるのなら数日早いだろう。おかげで、(山根は年末しか蒲鉾を並べないとのことだから)、来年の楽しみが残った。
久しぶりの実家だった。そのせいか、いろいろとあり、様々なことをやった。
予想外だったのは、工場跡の一角にある元事務室の屋根である。見ると、瓦がずれていた。それに気づいた発端は、その実務室に雨漏りの痕跡を発見したことだった。
調べたところ、数枚の瓦のズレを発見した次第。幸い大したことがなかったため、梯子をかけて手当できた。次の大きな台風が来ないかぎり大丈夫だろう(半年後に来るかもね)。
もう1つ、想定外だったのは、野鳩が元工場に入ってしまったことである。はじめてのケースだった。昆虫と違い頭がいいはずだからと、扉を開けておき、勝手に出ていくようにと放ったらかした。庭で作業をし、夕暮れになったので引き上げよと工場に入ったところ、その野鳩が工場にいて、人間の影に怯えて飛び回った。
しばらく出口に向けて追おうとしたのだが、野鳩は天井に向かって飛ぶばかり。天井の板に頭をぶつけて脳震とうでも起こしたのか、やがて元気がなくなり、地面で休んでしまった。
こっちはその姿を見てどうしようかと思ったものの、大きな網が実家にはない。困ったながらも、ひょっとして手掴みできるのではと思い、やってみた。成功した。
鳩を掴みながら出口に向かった。鳩は暖かで、暴れもしなかった。
外に出たので、放した。そのまま元気に飛んでいった。腹部の小さな羽が3枚舞い落ちた。
ということで、ある意味で平和な大晦日だった。来年もいいことがあるだろうか。鳩の恩返しを期待しつつ、元旦を迎えようとしている。
2018/12/31