本日、日経平均株価が急落した。19000円割れも十分ありそうな下げの勢いである。コメントを眺めていると、「最悪のクリスマス」と感じた投資家が多いようだ。本当なのか。
日経新聞のネットのサイトをざっと見れば、「クリスマスショック」、「過去最悪のクリスマスイブ」、「(アメリカの利上げ)政策が(株価下落と景気後退との)悪循環を助長する」との表現が拾えた。これに対して、僕は「そうではない」と考える。
まず、この株価下落を政策のせいにするのは間違っている。景気の状態、株価、これらに過熱感がある。もしくはこのまま放置したのなら加熱してしまう。そう政策当局が思ったから、政策金利を引き上げたのである。
そもそも、景気の過熱感を煽ったのがトランプである。場当たり的に減税をした。公共工事も進めようとした。アメリカの経済はその実力対比で相当高い水準にあった。トランプは、その燃え盛っている火に油とは言わないまでも、薪をくべたのである。アメリカのFRBが金融をタイトにしようとしたのは当然である。
さらにいえば、アメリカの株式市場の関係者が強気すぎた。トランプの場当たり政策よって景気が過熱方向に向かおうとしたのに、それを警戒するどころか、買い上がった。
以上のように考えれば、アメリカの株価が10月に入って変調を来したのは当然であり、むしろ遅かったというべきだろう。
株価の下落が少し遅きに失したものの、かといってどの程度の過熱感があったのだろうか。きわめて危険な状態ではなかったと思う。さらに日本の場合、アマゾンやアップルのような巨大かつ高成長を続ける企業が幸か不幸かなかった。だからアメリカよりも過熱感がより少ない。
一方で、株式市場に関して素人とでもいうべき日銀がETF(上場投資信託)を買い続けていた。余計なことをしたわけだ。今の日銀の株式購入には断固反対だが、仮に政策上、仕方なしに買っていたとしても、市場に過熱感のある時に買う必要はまったくなかった。むしろ無駄な弾を撃った。弾を残しておけば、今がその時はどうかはともかくも、いざというときにきわめて有効に使えたのにと思う。
今回の株価下落と、10年前のリーマンショック時を比べれば、今回は危機的状況に陥る火種は見当たらないようだ。唯一、トランプの政治的リスクは指摘できるし、それに応じて中国経済が1990年代の日本的状態に陥るリスクがある。この点に注意を払うに越したことはないが、この点は誰にも正確に見通せない。
僕はいつも楽観的である。日経平均の18000円台入りは当然ありえるし、その大台を割ることも想定しておかないといけないとは思っている(12/15、峠を見下ろす来年の株価)。とはいえ、それだけのことでしかない。経済を信頼するのなら、下落した株式を買うだけである。
日経CNBCと日経ヴェリタス向け座談会で、来年の投資について一言でといわれ、「選別・逆張り」と書いた。株であれば何でもかんでも買うのは間違っている。しかし、株を買うチャンスがようやく到来しようとしている。これが株式市場に住むサンタの、今年の大人向けプレゼントである。
2018/12/25