世界史や地理の授業を思い出せば、「エジプトはナイルの賜物」とは当然のことながら、それを現地で痛感した。ナイル川の存在が「変なの」である。
エジプトでは、アレキサンドリア付近だけが地中海性気候で、冬に雨が降る。カイロ付近になると雨がほとんど降らない。カイロより南は砂漠である。その中をナイル川が流れ、その流域と、アレキサンドリア付近のナイルデルタだけが植物で青々している。
高校の地図帳を眺めると、ナイル川には「外来河川」とある。古代人にとって、「雨も降らないのに、どこから水が流れて来るのか」不思議だったに違いない。
エジプト経済について。1人当り国民所得は2778ドル(2016年)、アフリカの国としては高い。
産業は、農業、観光、スエズ運河であり、原油や天然ガスもリビア寄りの砂漠で算出するらしい。このうち、農業はもとより、観光も元をただせばナイルが生んだ古代文明の賜物である。
工場もあるが、食料品関係が多い。これもナイル川での農産物のおかげである。電力も、アスワンハイダムを使った水力発電が1割近くを占めている。
そのエジプト、独自の文化を誇ってきたため、プライドが高いとの印象を受けた。現地ガイドからして、荷物を運んでくれない。それはポーターの役割のようだった。
イスラム教なのだが、それに完全に染まっているわけでもない。そもそも、シリアとそれ以東は古代エジプトの敵(というか、国として戦うべき相手)だったし、アフリカも敵だった。書き忘れているが、人種としての顔立ちも異なっている。
そのエジプトを感じ、感動したのは、実は着いた日のカイロのホテルからの眺めだった。ガイドが「交渉していい部屋に変えた」と(嘘か、チップをはずんでもらうための行動かはともかく)自慢した。部屋はヒルトンの22階、ナイル川とカイロ中心部の眺めがあった。夕方、沈む太陽がシルエットを作ったのか、ビルの隙間からピラミッドが2つ見えた。
ナイルの流れは思ったより細く(乾燥による蒸発と、アスワンハイダムのせいで)、感動ものではなかったのだが、流れの奥にピラミッドを見た瞬間、「ああ、エジプトだ」とつい思ってしまった。以前、飛行機を降りた瞬間にピラミッドが遠くにある、そんな夢を見た。それに近かったかもしれない。夢が叶ったとでも書いておこうか。
写真はホテルからのナイルとピラミッド(右側)である。「と言われても、どこに三角形があるんや」というので、ピラミッドの部分を拡大しておく。
2019/02/06