川北英隆のブログ

ナイル寝台特急に乗る

エジプトの旅行、山歩きのないのが不満だった。それを埋め合わせてくれるのが列車と船のはずだった。
エジプト、実は以前にシナイ半島の山歩きをと思っていた。そこにエジプトの最高峰があり、それがキリスト教の十戒の山でもある。
今、シナイ半島の治安は悪いらしい。外務省の海外安全情報では「渡航中止勧告」になっている。かつてたくさんあったツアーも出ていない。十戒どころではなく、一罰というか一乱百戒というところか。いずれにしても、ツアーがないと海外の山を歩くのは難しい。
それはともかくも、今回のツアーはナイルを遡るのに夜行寝台特急を使っていた。列車はピラミッドの近く、ギザ駅から出ている。ピラミッドを見た後、ホテルで少し休憩をしてギザ駅に向かった。
どうせ鉄道の発達していない国だから、のんびりとした駅だろうと思っていた。大間違いだった。エジプトの鉄道は、地中海のアレクサンドリアからナイル中流のアスワンまで通じている。幹線である。時刻表を見なかったものの、ギザ駅には10分置きくらいに列車が入ってくる。プラットホームにも人が溢れている。
でも、頻発する列車のどれに乗っていいのか。アナウンスも満足にない。現地ガイドも、駅の売店のオバちゃんだったかに確認していた。外国人が簡単に乗れる代物ではなさそうだ。
しかも、夜行寝台特急というからには立派だろうと期待していたのに、普通に近い列車だった。もちろんディーゼルである。
個室寝台車が10両だったか、連結されている。片側が通路になり、反対側(ルクソールの手前からアスワンまではナイル側)が個室寝台になっている。最後尾だと思うが、その車両はカフェになっている。要するに喫茶店であり、お茶とタバコが自由である。アルコールはなかった。そうそう、寝台車は禁煙だった。
列車がギザを出発すると簡単な夜食が出る。紅茶かコーヒーの注文を各車両にいる乗務員が注文を取るが、2ドルだったか、有料である。朝はパンが出る。この朝食と一緒に出る紅茶もしくはコーヒーは無料だった。
個室は写真のとおりである。頃合いを見計らい乗務員がベッドにしてくれた後の写真である。2階ベッドになっているが、今回の旅行では一人で使ったので、2階部分はベッドにしていない。2人で使ったら狭いだろう。魚眼レンズを使ったので、テレビのように見えるのが窓である。右手に洗面台が付いている。
朝起きると、列車はナイルの東側を走っていた。個室の窓から川が見える。カイロからのナイルと同様、世界第2の大河と思えない細さだった。
ギザから13時間走り、アスワンに着いた。鉄道としての終着駅はアスワンハイダムらしいのだが、すべての乗客はアスワンの町で下りたと思う。列車としての終着だったのだろう。
20190212寝台列車.JPG

2019/02/17


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