正式名、農林中金バリューインベストメンツ、日本語表記の名前が長い。だから、ブログの表題の1行、14文字に入り切らない。この会社の実質的な創設者、奥野一成氏の記事が13日の日経新聞に掲載されていた。「駆ける投資家魂」という特集である。
農林中金バリューインベストメンツ、名前が長いからか、略してNVICと呼んでいる。実のところ、僕の最近での大学での研究や実践を支えてもらっているのが、このNVICである。
奥野氏をはじめとして、最初に長期株式投資の本を書き、出版したのが2013年だった。その前の年から原稿の準備をしていた。日本の株式市場の一番暗い時代だった。
出版した2013年だったか、その翌年の2014年だったか忘れたが(調べたところ、多分2013年)、奥野氏から大学に対して講義を提供したい(その裏付けとしての寄付をしたい)との提案があった。データ代を含めて研究費の捻出を自転車操業している者にとって大変ありがたい提案だった。
その提案を受け、大学での寄付受け入れの事務手続きを進めつつ、講義の準備をした。構想は、せっかくだから企業経営者を呼び、学生に話をしてもらおうとのものだった。
その経営者をどうするのか。当初は京都大学だから京都企業を呼ぶことにした。京都のコア企業の1つ、オムロンを奥野氏が知っているというので、現在は取締役をされている安藤聡氏を訪ね、相談したのが第一歩だった。
オムロンの創業一族、立石文雄氏が京都商工会議所の会頭をされていた。まず、その立石氏に話をしてもらう約束を取り付けた。さらにその紹介と商工会議所の力を借りつつ、京都企業の社長もしくは会長の秘書を回り、大学で話して欲しいと依頼した。
オムロンの力と、日本経済の回復という時期も幸いし、京都の主要企業5社の会長もしくは社長に話をしてもらうことができた。その講義録を出版し、それを材料というか証拠品とすることで、翌年以降の講義を順調に組み立てることができている。
現時点まで、5回の寄付講義を終えることができた。すべての回の企業経営者の講義については出版物にまとめてある。新年度に6回目を迎える。多分これも出版するだろう。出版物については、このブログの著書のサイトにある。
以上、まずは奥野氏の情熱のおかげだろう。次に、その情熱を包み込んだ京都大学の腐っても鯛の(まだ腐ってはいないが、その兆候なきにしもあらずの)ブランド力だろう。
もちろん、最初の年、素晴らしい京都企業の経営者に来てもらった効果も大きい。経営者に加え、ユニークなというか、哲学のある多くの投資家や論者にも話してもらっている。このように、ブランドがさらにブランドを形成しているのが、この講義である。
自慢するわけではないが、奥野氏と僕がこれまで積んできた善行が、講師を招くに際して陰で役立っている。と、これは僕に関しては嘘っぽいかも。
2019/03/15