いつものように季節が流れ、桜の季節が終わった。京都の東山が若葉に包まれている。その緑のグラデーションの中に白いものが目立ち始めた。クロバイの花である。
昨日は「祝日」だというのに講義日だった。出勤した。労働組合の強い大学組織がよく講義日として設定したなと思うのだが、教務係だけが出てきていて、その他の事務は休みだとか。「やはりね」と思うともに、「ワテらは単なる労働者かいな」とひがんでみる。
研究室のある建物も施錠されていた。自分で施錠を解き、建物に入った。
講義を終え、しばらく用事を片付けた後、天気もいいことだしと、ふと誘われて山越えで帰ることにした。
大文字山は一面の緑の中に埋もれていた。「これくらいは咲いているかな」と期待していたイヌザクラも終わっていた。残念である。山道にはヤマザクラやフジの花びらが少しだけ落ちていたが。
咲いていたのはクロバイだった。カシの類も咲いているのだが、その色が葉と大きな差がないため、目立たない。
クロバイ、昨年の台風で幹が倒れたり傾いたりしているのが多い。だから、間近で花を観察できるのがあった。
写真がその間近に見たクロバイの花である。遠目ではわからなかったが、意外に可愛らしい花だった。期待していたイヌザクラの花をギュっと押し詰めたようなものか。
なお、クロバイはハイノキ科。その枝や葉を燃やし、灰汁を取ったので、このような名がいているとか。クロは幹の黒い(ハイノキ)の意味だと。
2019/05/03