証券アナリストジャーナル5月号から新しい連載「資本コストと企業価値評価シリーズ」が始まった。元東大の新井富雄さんに執筆をお願いしたもので、5回を予定している。
僕は証券アナリストジャーナルの編集に携わっている。いつからかは記録を調べないといけないのだが、ちょこっと(チョコを食べながらではない)記録をたどったかぎりでは、少なくとも1994年から編集委員になっている。「四半世紀もか」と思ってしまった。
その縁で、2014年秋から編集長となった。その職務は何かというと、いろんなスタイルがあるのだろうが、最低限やらないといけないのが、編集委員会での議長を務めることである。編集委員会では、毎月発行する号の特集テーマと書評(読書室)の対象書籍を決めている。また、掲載すると決めた論文のチェックも行っている。
それだけではつまらないので、僕の場合は連載(シリーズ)を提案している。
最初が、2016年9月号から17年2月号までの「企業と証券アナリストの対話の実例シリーズ」である。スチュワードシップ・コードにおいて、アナリストには企業との対話が強く求められた。では、その対話とは何なのか。お茶飲み話やゴルフ談義でないのは確かなのだが、その訓練を受けていない場合には、かえってお茶飲み話やゴルフ談義未満になりかねない。
その6回のシリーズに基づき(雑誌に登場してもらえなかった筆者を加え)、証券アナリスト協会から『企業・投資家・証券アナリスト 価値向上のための対話』(日本経済出版社、2017年)を出版した。
その第2弾が「資本コストと企業価値評価シリーズ」である。コーポレートガバナンス・コードでは資本コストが強調されている。しかし、日本企業の何割が資本コストを正しく認識し、算定できているのか。そこで、資本コストをシリーズにしたいと思い、編集委員会の賛同を得た。同時に、この分野での適任者である新井さんに執筆をお願いした。
初回を読んだところ、きわめて適切な説明が展開されている。実務的な疑問への答えもある。証券アナリストジャーナルは協会の会員向けの雑誌ではあるが、協会に連絡すれば入手可能である。一読されんことを。
2019/05/04