川北英隆のブログ

通信会社のガラパゴス

ガラパゴスを一度訪れたことがあり、再訪したい地域の1つである。とはいえ、社会的責任のある企業が、ガラパゴス的障壁を設けて閉じこもるのはアホでしかない。「遺憾」とかいう人を煙に巻いたような表現ではなく、直截的に「アホ」と表現しておく。
このアホな事例としてふと思ったのが、日本のスマホがそもそもSIMロックの対象になっていたことである。アホな事例そのものである。
SIMロックとは何かというと、スマホを契約した側からすると「檻の中に閉じ込められた状態」である。もう少し言えば、「安いスマホ機器代金」で釣られた利用者が檻に閉じ込められ、契約した通信会社から逃れられなくなってしまう。
逆にSIMフリーであれば、スマホの利用者は「こりゃええわ」と思った通信会社へと自由に移ることができる。
電波に大きな差異はないから、どうしても通信会社間で価格競争が生じ、通信会社の利益が減りかねない。この会社にとって「無意味な」競争を避けるため、SIMロックという檻を編み出したのだろう。総務省も、その檻を認めたのか、黙認したのか、どちらかであり、檻の共犯者である。
この檻の問題はスマホ機器と通信料金のセット販売の問題でもある。セットという煙幕が、檻を隠したともいえよう。現在、ようやくそのセット販売に火がついている。
議論を海外でのスマホの利用に移すと、SIMロックの場合はどうなるのか。僕はSIMフリーのスマホしか使ったことがなく、SIMロックの場合をよく知らない。ネット検索したところ、やはりSIMカードを差し替えるという、もっとも割安かつ勘弁な手段が使えないようだ。
要するに、SIMロックのスマホをグローバル化の時代に使っているなんて、ましてやそれを押し付けるなんてアホなことでしかない。これを例えれば、通信の鎖国であり、ガラパゴス化を自ら宣言したようなものだろう。
日本の通信会社は、海外でもスマホが使えるように、提携した海外通信会社に関して「国際ローミング」サービスを提供している。でも、えらく高くつく。僕の場合、ガラケイ(これもガラパゴス化の一例だった)で緊急通話だけできるようにしていたのだが(もちろんそれ専用の高い機器を購入していたのだが)、そのサービスを某KDDIに一方的に打ち切られてしまった。ほんま、何を考えているのだろうか。
SIMフリーになればいいことがいっぱいである。中古のスマホを買って思う存分使えばいい。海外でも自由に使える。
そもそもスマホのSIMのセッティングなんて誰でもできる。それを「難しいのだ」、「そんなことをしなくていいようにSIMロックしてあるのだ」と主張するのが日本の通信会社のようだ。利用者をなめている。
このガラパゴス化の問題はNTTとKDDIに限定されない。ソフトバンクは革新的な会社として通信分野に参入した。しかし、商売のやり方は革新的ではなく、既存会社のガラパゴス化路線に乗っただけである。この意味で、経営者としての孫さんを尊敬するわけにはいかない。金銭に貪欲な、その感覚に長けているだけだろう。新たに参入する楽天がどうなのか、注目したいものだ。

2019/06/03


トップへ戻る