今回のスペインは46年前の記憶との比較の旅でもあった。ついでにバルでの飲物と食物を楽しむ旅にもなったのだが。その旅で鮮明に印象づけられたのが青空と建物の対比である。
46年前、マドリードからウィーンへと飛行機で移動した。夏(7月だったか)の午前の比較的早い便だったので、夜明けとともにマドリードを離れた。その時、朝日が斜めから射し、白を基調とするマドリードの建物を赤く染めていたことを思い出す。
今回のマドリードの印象は建物の白でも、朝日でもなかった。今回は5月の終わり、マドリードの日の出は7時頃、日の入りは21時過ぎだった。
朝は部屋で済ませた。近くのスーパーで調達したパン類や飲み物である。活動開始は8時か9時頃。だから、朝日を見る機会はなかった。夕食は暗くならないうちに終えていた。だから夕日にも関係なかった。
滞在の前半、晴れていたとはいえ(雨が少なく、暑くも寒くもない時期を狙ったから晴れるのは当然ながら)、比較的雲が多かった。後半になって快晴に近い天気が多くなった。
そんな後半のマドリード市内の空はやたらと青い。東京はもちろん、京都でも出会わない青さである。その青と建物の白とレンガの赤の対比が鮮やかだった。
完璧な青空になるのは何故なのか。1つはスペインの西が大西洋であり、国がないからである。正確にはポルトガルがあるものの、小さい。日本のように、西に中国という大きな国がない。
もう1つは、スペインが巨大な工業国ではないからである。マドリードの郊外にはすぐに農地が広がり、大きな工場も見当たらなかった。つまり、煙突がない(少ない)。
さらに加えれば、空気が乾燥している。水蒸気が少ない。
以上の理由で空気が汚れておらず、澄んでいる。写真はマドリード市内の夕方である。こんな青い空が、そこら中の建物の上に広がっている。
2019/06/08