政府が「日本もキャッシュレス社会にしたい」と叫んだものだから、隣の赤い国を真似た「何ちゃらペイ」が雨後の筍みたいに発生した。7ペイのように育たないまま枯れたのもある。思うに、日本での何ちゃらペイは侵略的外来種みたいなものだ。
赤い肉違う、赤い国で何ちゃらペイが大繁殖したのには素地がある。キャッシュに偽物が多く混じっていること、銀行網が日本ほど発達せず、クレジットカードが普及していないことが主要な理由のようだ。日本の現代版大判は1万円札だが、赤い国の大判は100元、日本の千円札相当でしかない。
最近中国に旅行した者が言うには、その100元札でタクシー代金を支払おうとすると、運ちゃんが嫌な顔をしつつ、「偽札違うか」と透かしなどを目で確認するらしい。
先日旅行したチリでは、大判が2万ペソ、これは3千円札相当なのだが、偽札のチェックが徹底している。客の目の前で特殊な機器を使い、透かしをチェックする店が多い。
札に関して、日本は特殊な国で、凝りに凝った、ほとんど真似できないような芸術品に仕上げている。そんな札、使わないと可哀想かも。いずれにしても日本は安全だ。
キャッシュはもとより、日本ではクレジットカードも電子マネーも進んでいる。前にも書いたように、ICチップの一種であるFeliCa(フェリカ)を使った電子マネー(代表的にはスイカやイコカ)は最高のキャッシュレス技術である。それがこれだけ普及している国は見当たらない。
世界を旅行すると、地下鉄が便利である。その世界各国の地下鉄、やはりキャッシュレス時代を迎えつつある。つまり、事前にカードを買い、入金しないと乗れないか、高くつく。おかげで、僕の海外旅行用グッズとして、ロンドン、イスタンブール、マドリード、サンチャゴの地下鉄カードが確保されている。しかしこれらは、各都市の地下鉄専用かそれに近いようだ。日本の交通系の電子マネーが小売店で使えるのとは程遠い。
日本ではクレジットカードも普及している。入手しようとすれば、日本人の何割が審査ではねられるのかと思い、少し調べた。日本クレジット協会のデータらしいが、日本人の85%が何らかのクレジットカードを持っている。また、加入申し込みをすると、8割近くが受理されている。僕の経験でも、会費無料のカードが多い。日本人にとって、クレジットカードの利用も簡単だ。
最近ではそのクレジットカードにICチップが入っているから、いろんな店で簡単に使える。日本でも海外でも、今年旅行したスペインやチリもそうなのだが、店の端末にピンコード(暗証番号)さえ入力すれば支払いが済む。日本はよくわからないが、海外では店側も現金より好むようだ。
以上のような便利で安全な国、日本で、「いまさら何で何ちゃらペイなんや」と思ってしまう。スマホを立ち上げておいて、店側のQRコードを読ませるのは、かえって不便で時間の浪費ではないのか。これに対し、電子マネーが一番便利だし、クレジットカードもピンコードを入力する手間だけである。
あえて日本での何ちゃらペイの意味を探すとすれば、赤い国からの旅行者向けである。もしくは、何ちゃらペイのおまけで釣って、客を取り込もうという店側の作戦だろう。政府が「キャッシュレスや」と叫んだのは、QRコード関係者に上手く乗せられただけか、政府内での勢力拡大を図ろうとする役人の策略だったのかもしれない。
で、そんな何ちゃらペイで支払おうとする列の前の客にもたもたされてしまうと、それがまたちゃらちゃらした日本人だったら、「オッコルで、ワレ」かもね。
2019/08/02