大学構内の北口から今出川通りに出て、吉田山を北側から登った。とは大袈裟で、最高点は121メートル。大学の北西の角、百万遍の交差点が56メートルだから、標高差65メートルしかない。もっとも、北側の登り口には山の雰囲気が漂い、気持ちいい。
登り始めると、すぐに道は2つに分かれる。右手(下側の道)の方が整備されているが、121メートルの最高点には直接登らない。
左手、階段になった道を登る。すぐに「マムシに注意」の標識がある。子供が多いからの注意だろう。山にマムシは普通にいる。
ミズナラの多い登りである。吉田山の南半分には、公園があり、吉田神社の境内であり、住宅地になっている。これに対して北半分は傾斜がきついこともあるのだろう、あまり人の手が入っていない。このため自然林が残っている。
以前の(退職して追い出される前の)研究室からは大文字山や吉田山がよく見えた。若葉の頃、吉田山のミズナラの薄緑の葉が風にそよぎ、時折裏の白い面を見せる。好きな風景の一つだった。
121メートルの山頂の東側は切り開かれていて大文字山がよく見える。送り火の鑑賞にいいかもしれない。でも、地元では比較的知れ渡っているのだろう。
稜線を南に向かって緩やかに下ると、公園のすぐ上に「紅萌ゆる」の歌碑がある。
クラブでの夏山の帰り、上高地でキャンプをし、その時に歌った。「それだけかいな」というところだが、社会人になってから、同窓会でも時々出てくる。そういえば、バヌアツはアンブリム島の民家で数泊した時、ちょっとしたパーティーになり、「日本の歌を歌え」ということになり、何曲かの1つに「紅萌ゆる」をと思ったが歌詞が出てこず、「琵琶湖周航の歌」に変えたかな。
つい先日、大学の同級生で、時々同窓会で会っているのからメールが届き、「肺がんで、それも転移している」とか書いてあった。「紅萌ゆる」に向かい回復するようにと祈りつつも、僕らは紅からすっかり遠ざかったなと思ってしまった。
歌碑のすぐ西側に三角点がある。105メートルである。その下から西側に続く道を下った。いくつか吉田神社へのショートカットの道があるものの、手入れが悪い。帰り、神社側から見ると「スズメバチのため立入禁止」とあった。
吉田神社の手前(上方)に別の立派な神社があつた。八百万の神々を祀るという大元宮かなと思ったところ、何と菓祖神社と書いてあった。お菓子(和菓子であってケーキ類ではないやろけど)の神様である。京都の菓子業者の名前を彫った石柱がたくさん並んでいる。和菓子好きの僕として(アルコール好きやなかったんかいな)、しっかり拝んでおいた。
写真が吉田山の三角点である。
2019/09/15