京都の町中を散歩していると、民家(いわゆる町家)が時々取り壊されていく。その一方で、町家の枠組みを残して店舗に改造されることも多い。その一例が富小路六角の角にあった民家である。
散歩をして時々通ったかぎりでは、婆さんが暮らしていた。ちょっとした庭もあった。典型的な京都の町家かどうかは疑問だったものの、比較的立派な日本家屋だったのは確かである。
少し前、その家に工事が入った。取り壊す様子もなかったので、大分傷んでいた屋根や壁の改修かなと思っていたところ、しばらくしてその前を通ると、角の塀だったか、それが取り壊され、庭とガラス張りの部屋が見えるようになった。加えて、けばけばしくない表示が壁にされている。
その表示、Columbiaとあったから、アウトドア用品店になるわけだ。すぐ近くにNorth Faceがあるから、それと競合する。
とはいえ、最近のアウトドア用品、大衆迎合し、通常の商品の質が低下していて、山用にしては弱い。普段用のファッション用品店というわけか。改装したのに、すぐに潰れては仕方ないので、そうならないように祈るばかりだ。
そう祈るのは次の理由による。改修前の民家、屋根と壁の間に隙間があり、そこにスズメが毎年来て巣を作っていた。そのスズメ、多分追い払われただろうから、その分、頑張ってもらわないといけないから。
もちろん、Columbiaが気を利かせ、スズメ用の隙間を屋根の下に残した可能性もある。その場合、別にColumbiaが撤退しても構わないのだが、逆にそんな自然と生物を大切にする気持ちがあるのなら、流行ること請け合いだろう。
店が完成した頃、もう一度その前を通り、スズメの運命を見極めたい。
2019/09/17