住んでいない家のポストに、就業に関する「労働力調査」の依頼表が入っていた。ほったらかしていたところ、しばらくして調査票本体がポストに入り、「いついつ、これを回収するので」とあった。
かつて、数えると40年以上も前、通商産業省(現在の経済産業省)に2年間派遣されていた。その派遣先の部署が統計の総括担当だったことから、統計の重要性は理解している。だから、協力を拒否したわけではないのだが、住んでいない住居に調査票を投げ込まれても対応が難しい、
その依頼関連の書類が複数回ポストに入ったものだから、仕方ないので封筒に書いてあった担当部署に電話をして、「通常は住んでいないのだけれど」と伝えた。と、労働力調査は調査対象者が普段住んでいる市町村を対象にしたもの、住んでいないのなら書類を破棄してもらって結構とのことだった。
統計の調査員は大変である。国勢調査もそうだが、個別に訪問し、調査票を渡し、場合によっては書く手助けをし、回収しなければならない。
事業所が相手ならともかく、爺さん婆さんが相手になることも多いだろう。
先日、銀行のATMで、訳の分からない質問を繰り返している婆さんがいた。その相談の相手が、銀行がバイトとして雇っている爺さんだったものだから、互いにかみ合わない会話を繰り返していた。ATMを使うために列を作っていた一人が見かねて、「窓口で相談したら」と注意した。
ATMならまだ比較的単純だが、統計の調査票に書き込むのは大変である。これに対して統計の調査員、どのくらいの時給をもらっているのか。大した金額でないだろう。
爺さん婆さんではなく、事業所が相手だとしても、ちゃんとした企業は多くない。なんちゃって企業はまだましな方で、違法に近い商売をやっている企業もある。夜にしか店を開けないのもあるだろう。
今回の労働力調査、何で住んでいない家に調査票が投げ込まれたのか不明である。投函されていた紙には、「無作為に選定した」と書いてあった。でも、その無作為の選定の対象を何故「住民票がある市町村の住居」にしなかったのか。ひょっとして、住民票の情報が使えないのか。とはいえ、調査を実際の行うのは国ではなく都道府県のようなので、住民票の情報が使えないというのも変である。
情報化の社会において、政府によって把握されている情報がここまで貧弱なのか。某国とは異なり、そんな緩ーい国に住んでいて嬉しいような、情けないような、複雑な気分になってしまった。
2019/11/01