川北英隆のブログ

水茎の岡山

次に目指したのは近江八幡の西、岡山である。万葉集に「水茎の岡」として登場すると書いてあった。調べたところ、「水茎」とは筆跡などへの枕詞であり、要は「流れるような、すらすらとした」との含意があるらしい。
元々は「水が滴るような」ということか。これなら女性だが、ユニセックスの現在は男にも使えるかな。
いくつか調べると、浜辺に生えるコウボウムギ、別名で筆草のことだとか、水茎の生えている岡のことだとか、諸説というか、いろんな意味を含んでいるらしい。いずれにせよ、水茎の岡である近江八幡の岡山付近が、かつては湿地であり、風光明媚だったのだろう。
それで、肝心の岡山の登り口はどこか。地形図によると、岡山の北側に石段の印があり、上部まで続いている。たかだか100メートルの高度差だから、石段の上部から藪漕ぎしても大したことがないと思い、その石段を目指した。
岡山の北側にある幹線道路をたどると、山の麓に老人ホームがある。そのすぐ先にまっすぐ上部に伸びる石段が、地形図どおりにあった。石段の下には、「名勝水茎岡」との比較的新しい石碑が立っている。まさしく登り口である。
石段を上がり始めたところ、段はブロック的なコンクリート製だと判明した。上部がフラットでないため、足の裏全体を使えず、スムーズには登れない。
石段が少し左に折れた先に水道施設があった。そのための石段だったわけだ。
そこから先、道の整備が不完全になる。草木も多い。要はあまり歩かれていない。やがて道が山頂部を巻きながら竹藪に入っていく。「どうしようか」と思ったが、直登するには大きな岩が行く手を阻んでいる。仕方ないと思い、竹藪の方に進んだ。
と、竹藪の手横で道が山頂部に登り始めた。実は水道施設付近から黄色いロープが張られていたのだが、それは登山道を示していたようだ。
藪の横に付けられた階段を上がると、すぐに頂上部に着く。しかし、草が多い。夏に登るのは無理である。秋は秋で、草の種がやたらとズボンに付く。早い話、引っ付き虫である。
頂上部を西に進む。一度軽く下り、登り直すと、笹薮になった。その中、ロープが続いている。一箇所、サルトリイバラがあり、それを越すのに苦労した。
頂上も笹薮だった。壊れたベンチが2つあり、かつては整備されていた証拠なのだろうが、今となっては気味が悪い。三角点と「岡山」の標識があった。
当然ながら往路を戻った。往復25分、途中で道を探さなければ20分程度か。
登り口で引っ付き虫をズボンから剥がしつつ見ていると、以前は岡山を巡る散策路が整備されていたらしい。そのため、山頂部にベンチも設置されていたのだろう。今は昔である。
後は適当に近江八幡の駅を目指して歩いた。岡山、長命寺山の山群、鶴翼山などの低山を満喫しながら歩いた。
上の写真は岡山の山頂、下は近江八幡への途中から見たその全貌である。
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2019/12/23


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