学会の話である。学会といっても、山岳会でも宗教関係の学会でもない。日本ファイナンス学会である。先日、その理事会があり、学会の運営を協議した。テーマの1つが理事の構成に関するもので、若返りを図るために懸案だった「年寄りの扱い」が大きく前進した。
学会として、理事の平均年齢が上昇していくこと、これが以前から問題視されていた。
日本ファイナンス学会の設立は1993年だった。当時、急速に理論展開と応用が進んでいたファイナンス分野に関して、論文発表や研究者同士の交流の場が少ないと、そんな問題意識を持った中堅もしくは若手の学者が新たに日本ファイナンス学会を創設した。
創設者らには、学問の発展には若い力が必要だとの意識が強く、裏を返せばともすれば老齢化した学者、つまり大御所にゴマをすりがちな既存の学会に対する反発もあった。そう聞いている。
それから四半世紀が経過し、日本ファイナンス学会はどうなったのか。学会として大きくなり、研究者と実務家が意見交換し、交流する組織としての役割を果たしてきている。
一方で、初期段階の理事が理事のままで残ってしまっている。理事は原則として会員による選挙であるのだが、交流関係の深さや知名度によって票が投じられるから、どうしても若手が不利になる。会長指名による理事の選任制度もあるのだが、人数が多いわけでない。以上から、理事の定年制が何年か前から議論されていた。
その理事の年齢を若返らせるため、新たに設けられたのが「会長経験者が65歳以上になった場合、希望すれば顧問になれ、理事にはなれない」制度である。
来年の大会時の会員総会で正式に承認される予定であるが、この制度によって新たに4人が顧問になる。新井富雄、池尾和人、大村敬一、そして僕の4人である。すでに小林孝雄、倉澤資成が顧問になっているから、6人が理事からリタイアすることになる。
先日も書いたが、年齢は嘘をつかない。頭も体も年相応に劣化する。不思議なのが政治家に年寄りが多いことである。彼/彼女らは怪物なのか、それともゾンビなのか。いずれにしても摩訶不思議な世界だと改めて思う。
2019/12/28