先日、東京は茅場町の東、つまり永代橋寄りにある新川大神宮の前を通りかかったところ、幟が立っていた。樽酒祭と書いてある。なんだろうと思って覗くと、樽酒を量り売りしていた。
新川大神宮は日本酒の神様というか、酒屋の神様である。江戸時代、新川には灘や伏見から運ばれた日本酒、「下り酒」が荷揚げされていた。当時、この近辺には多くの酒問屋と蔵があったのだろう。今でも酒関係の会社が多い。数年前まで、キリンビールの本社もあった(手狭になったのか、中野に移った)。
その新川大神宮、ホームページによると、1625年に祀り始められたとか。
http://shinkawadaijingu.or.jp/2019taruzake-fes/
そのホームページには樽酒祭のことも載っている。下り酒の新酒をどの船が一番早く江戸に運ぶかの競争があり(ボージョレヌーボ的な感覚もあったのか、早く着けば高く売れたらしい)、最初に入港した船には「惣一番」(一番になった)の栄誉が与えられたこのことである。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan1915/26/5/26_5_70/_pdf
今回の樽酒祭は当時を偲び、下り酒6種の樽を開け、量り売りする催しだった。今年が最初とのことで、12/26と27の両日にあった。
祈祷済みの樽酒を720mlの瓶に入れてくれる。縁起物かなと思い、試しに買いながら、「来年もやるの」と聞くと、「好評なのでやる可能性が高い」とか。
ちなみに、新川大神宮のホームページには「二斗樽12丁が(終了予定の)日暮れ前には完売の運びとなり」と書いてある。僕の入手した貴重な縁起物、正月のお神酒になる。「下り酒」と逆方向に運んだから「上り酒」、ますます縁起がいい。
写真はその新川大神宮である。
2019/12/29