今日の日経、文化欄の随筆「立冬の候」が面白かった。作家、南木佳士氏の文である。何が面白かったのかと言えば、彼のかつての飼い猫、トラのこと。サバトラでオスだったとある。
そのトラ、老猫になってから、夜9時ころになると、奥さんの腰や肘のあたりに頭突きをくらわしたと書いてある。軽く当たったのだろう。「もう寝に行こうよ」という催促だったとか。
実はわが家で飼っていたメスの三毛、ロッキーも老猫になり始めてから同じような行動をした。夜の11時近くまでテレビを見ていると、カミさんの近くに来て顔を洗い始める。そして、時々「ニャオ」と普段とは違った鳴き声を立てた。「もう遅いで、寝に行こうよ」という催促である。
猫、年をとって経験を積み、知恵がつくと、同じようなことをすると知った。ロッキーはカミさんと一緒に布団に潜って寝た。その暖かさが気持ちよかったのだろう。それにカミさん、あまり寝返りもせず、静かに寝てくれたのだろう。
南木氏のトラもやはり奥さんと寝ていたらしい。猫、人間のオスが嫌いなのだろうか。
猫は犬と違い、知恵が浅いように言われる。でも、本当のところ、意外に老獪である。「化け猫ほどではないが、その少し手前まで年を取ると」という条件が付くかもしれないものの。
2020/01/12