川北英隆のブログ

コロナとオリンピックと経済

コロナちゃんの問題、意外と根が深い。とくに日本にとって深刻になる可能性を秘めている。最大の懸念はオリンピックである。
コロナちゃん、現段階で大騒ぎするのはどうかと思っているが、厚労省の対応が今一つである。日本に波及した時にどうするのか、今まであまり考えていなかったのではと思ってしまう。少なくとも政府から国民に対して具体的な情報提供や指示がないまま、国内での人から人への感染が確認されてしまった。
武漢から政府の臨時便で帰国した2人が検査拒否をするという、不手際もあった。事前に聞き取りし、あくまで検査拒否する意向なら、帰国便に乗せなければいい。まだまだ帰りたくて帰れない日本人が残っていることだし。
それはともかく、中国での感染がどこまで広がるのか。政府が絶対的な権限を有している国だからさらに強硬な手段を打ち出しうる。それに、これ以上コロナちゃんを国内と世界に拡散させれば習近平に対する批判が高まりかねない。とすれば、中国からの観光がさらに落ち込みかねない。
日本経済は、とくに国内産業は中国からの観光で生き延びている。中国からの観光客が激減し、インバウンド効果が風前の灯になれば、企業利益が激減、新規投資をした企業(例えばホテル)は経営危機に陥りかねない。
さらに、国内での感染が広がれば、中国以外からの旅行者も来なくなる。国内の移動も限定的になる。そうならないことを祈ってはいるが。
問題は7月末に開催を控えたオリンピックである。2002年に大問題になったSARS(重症急性呼吸器症候群)の例をみておこう。発生は2002年11月16日、03年7月5日に終息宣言が出された。つまり、収束まで8ヶ月近くかかったことになる。
この間、今回のコロナちゃん的な急速な拡大がなかったと記憶している。日本にも結局の所上陸しなかったそうだ。
今回のコロナちゃん、死亡率はSARSほど高くないように思える。ただし、潜伏期間が長いのと、重症化する率も高くないだけに、保菌者が比較的自由に動き、コロナちゃんの拡散を加速させるリスクがある。
東京オリンピックを6ヶ月後に控えているのに、コロナちゃんが日本に上陸してしまった。厚労省の対策も、記者会見を見ているかぎり、言い訳がましい部分、自己保身的な部分が感じられ、頼りなすぎる。
最悪、日本が中国と同様の汚染国だと世界が感じてしまえば、オリンピックに選手を送ってくるのだろうか。政府として正念場を迎えつつある。オリンピックが尻すぼみになり、最悪中止になれば、オリンピック目当ての企業は大変だろう。今日の日本の株価下落(日経平均で401円安)がなんとも薄気味悪い。

2020/01/30


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