個人にとって、郵貯などを含めて複数の銀行口座を持つのが普通だろう。転勤のあるサラリーマンをしていると、赴任先の地方銀行で口座を作り、次の転勤でその口座が眠ってしまうことも多いだろう。解約は面倒、そこで通帳記載額を引き出し、利息分を諦めてしまう。
あるアンケート調査によると、口座数は5つ以上との回答も相当あるらしい。
ちなみに僕はというと(思い出しつつ数えてみると)、8口座あるようだ。口座数が多いのは、義理で作った口座があること、勤務地の変更が複数回あったこと、ネット振込を無料にするため新たに口座を作ったことによる。こまめな方なので(どこがや?)、これでも5つくらい口座を解約したのではないだろうか。
それはともかく、銀行に開設された銀行口座数が非常に多いことが原因となり、個人番号(マイナンバー)と銀行口座とを直接結びつけられないらしい。この結果、コロナ対策としての10万円を政府から振り込んでもらうためには、煩雑な手続きが必要になる。
もしも個人番号と銀行口座とが結びついていたのなら、政府が個人に対して一方的に10万円を振り込むことも可能となる。個人が複数の口座を持っていると、政府が個々人の口座を抽出し、残高や入出金の頻度で順番付けして、どの口座に振り込むのかを決定するだろう。
銀行口座に個人番号を付与する制度は、2018年に、新規開設口座から始まっているらしい。しかし、既存の口座は手付かずである。口座数が多すぎて(億単位の数なため)、膨大な手間とコストが必要となる。これを銀行が嫌がっているらしい。
もう1つは、「財産を把握されたくない」との反対意見も根強いからである。でも、これは金持ちの主張であり、サラリーマンには関係ない。
サラリーマン、どうせ給与は100%把握されている。「相続財産が・・」という懸念もあろうが、余程の金持ちでもないかぎり、世の中が騒ぐほど、相続時の税額は大きくならない。ということで、金持ちの支持を得たい政治家が、銀行口座への個人番号付与に抵抗している、この目的で国民の不安を煽っているだけに等しいのではないか。
以上からすると、一番大きい問題は口座数である。この障害を取り除くアイデアがある。
それは、銀行口座から維持手数料を徴収することである。僕が持っているネット振込無料用の口座は、預金額が一定以下になると、確か口座維持手数料が発生したはず。と思い調べると、現在は不要になっているらしいが、当初はそういう契約だった。
別の口座(ネット銀行口座)にも維持手数料が発生していた。その口座、元金をすべて引き出しておいたら、即刻維持手数料が引き落とせなくなり、自動的に解約されてしまった。手間要らずだった。
僕が保有している8口座のうち、3口座は使っていない。いざとなれば、さらに2つ減らせるだろう。口座に手数料が発生すれば、通帳記載額をすべて引き出せば終わりである。
銀行の経営は非常に苦しい。とくに地方銀行がそうである。口座から手数料を徴収すること、口座数を減らして事務コストを下げることが一石二鳥になる。政府としても、所得の把握が容易になる。サラリーマンとしても、税の不公平感がなくなる。何と、三方良しではないか。
僕が政府の役人なら、この案を強く提案するのだが。一抹の不安は、「うるせえ」って、政治家とお偉いさんの不評を買い、左遷させられることかも。
2020/04/28