川北英隆のブログ

オンライン診療が救う日本国

今日、識者の話しを聞いていると、オンライン診療に対する抵抗は地方の医師に根強いらしい。質問しなかったが、多分、地方の古株の開業医だろう。多くの彼/彼女にとって、オンライン診療のメリットが理解できないらしい。
年老いて病気になればわかるように(わかる年齢でなければ、たとえば両親をイメージしてみればいい)、病院に行くのが大変になる。這うようにして、時にはタクシーを呼んで病院に行く。待合での時間も大変である。他の病気が感染するリスクもある。だから、「健康でないと病院に行けない」と思えてくる。
そうだとすれば、オンライン診療は非常に重宝である。医師は患者の体に直接触れられないものの、症状をある程度把握できるだろう。しかも現在、ネット通信が4Gから5Gに移行しようとしている。5Gになれば情報の量と質が格段に向上し、たとえば風邪が疑わしい場合、医師は口を大きく開いた患者の患部を見ることも可能となる。
医師にとっても、オンライン診療は危険が少ない。インフルエンザやコロナなどの感染から完全に隔離される。
そこで、医師が問診をし、必要なら患者自身に熱を測ってもらい(今の日本の家庭には体温計はほぼ普及しているはず)、その上で医師が「来院してもらいたい」、「大病院に行くのがいいので紹介状を書く」、「薬を調合するので薬局に連絡する」などの処置を決める。それが最善の対応ではないのか。
厚労省は「かかりつけ医」の制度を普及させようとしている。この制度、下手をすれば、近くの医院と大病院とをダブルで訪ねることになり、病気が一層悪化してしまう危険性を抱えている。オンライン診療なら、この危険性が軽減されるので、かかりつけ医制度にはぴったしになる。
それと、地方の住民にとっても願ったり叶ったりである。地方の山に登るとすぐに分かるのだが、バスの路線は必ずその地方の中核的な病院を経由する。爺さんと婆さんの利用者も多い。そんな老人にとって、オンライン診療はぴったしである。我々の世代が老人世代に突入しつつあるから、ネットの利用も進む。
わが家の近所の医院、実質的にかかりつけ医なのだが、コロナの問題が大きくなってから、朝9-10時の間は電話での対応に切り替えている。診療報酬をどうしているのかは知らないものの、オンライン診療的な対応にしたのだろう。聞くところによると、昨年12月頃、熱のある患者が朝一番に飛び込んで来るので、それも中国人などの観光客が混じるので、オンライン的な診療が必須と判断したらしい。
医師は知的能力が高い。オンライン診療に必要な機器やソフトの設定にも十分に対応できるはずだと考えていい。必要なら、医師会で、統一的なソフトや機器の組み合わせを開発し、それを全国的に導入するように説明と指導をすればいい。
オンライン診療は患者のためでもあるし、医師自身のためでもある。コロナ禍を福と転じるためにも、オンライン診療を強力に推進してもらいたいものだ。

2020/06/18


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