台風第10号が九州西岸を狙っているとか。気象庁の予報だと長崎付近に上陸するかもしれない。一番可能性が高いのは、九州西岸の五島列島、対馬付近を通り、朝鮮半島の釜山付近に上陸するコースのようだ。
気象庁が公表している気象衛星の写真によると、第10号は「お目々ぱっちり」の美人である。人間の世界でもそうだが、美人は怖い。近寄ると(そっちから近寄って来たやんかと思うのに)、ばしっと殴られる。台風もそれと同じである。
この第10号に対して気象庁は「経験したことのない」との形容詞を繰り返し使っている。「本当だろうか」と疑うのは、僕が経験した台風の中で圧倒的に怖かったのが第二室戸台風(1961年の台風第18号)だったから。
名前の通り、四国の室戸岬に上陸し、兵庫県西部を通過していった。盆地であるため(周囲の山が屏風となり)暴風雨の影響を大きくは受けない奈良近辺でさえ、家が飛ばされる程の風が吹いたし、実際に飛ばされた家もあった。
その第二室戸、中心部の気圧が880ヘクトパスカルにまで発達、上陸時も925ヘクトパスカルだったそうだ。今の台風第10号の気圧は920、最盛時の予想が915ヘクトパスカルだから、第二室戸のほうが圧倒的に強い。
ついでに書くと、日本では台風を第何号と番号で呼ぶが、当時、国際的には英語の女性名が付けられていた。第二室戸の名前はナンシーだった。当時気象衛星はなく、レーダーによって雲の観測をしていたが、その写真を見ると(ウィキペディア「第2室戸台風」の写真参照のこと)、やはり「お目々ぱっちり」の美人である。
台風第10号、要警戒である。上陸しなくても、第二室戸が四国に上陸したのと同じ程度の勢力で九州西岸をかすめていく。「経験したことのない」という表現はともかく、70代、80代の老人にとっても、「過去に経験した最大級の」勢力であることは確かである。
写真は9/5、午前6時時点での気象衛星による「美人台風」写真である。
2020/09/05