今日の日経新聞の15面に「シンガポール、ビザ厳格化」とある。シンガポールは、自国で働くためのビザの条件を、「一定以上の収入があること」で縛っている。その条件を大幅に引き上げたので、日本人がシンガポールで働くのが難しくなったとか。
面白いのは卒業した大学によって、収入の下限に差異が設けられていることだろう。東大、京大、東工大を卒業しているのなら、多少収入が低くてもOKらしい。瞬間、「逆じゃないの」と思う。世間的な感覚では、「いい大学」を出ていると就職先に恵まれ、収入が高くて当然ではないのか。そんな大学を出て給与が低いということは、本人に能力がないか、本人に就職先の選択眼がないのか、どちらかだろう。とすれば、要は落ちこぼれではないのか。それとも本人はボランティアのつもりで働いているとかかも。
以上は半分冗談として、本題はここからである。そのビザの条件は45歳以上で最高金額となり、卒業大学がどこであれ月給65.5万円、年俸に直して786万円以上を要求している。30歳では、上で述べたように卒業大学によって差があり、536万円から665万円である。
これを高いと思うかどうかはともかく、シンガポールの国民1人当たり所得(GNI)を見ると、5.85万ドル(2018年)、今の為替レートで円に換算すると620万円ほどである。
こう見ると、ビザの条件である収入の下限の意味は、「シンガポールの平均的な収入を得るように」との意味でしかない。シンガポールの立場からすると、「貧民をシンガポールでは働かせない、そんなことをしたら国民の生活レベルが下がる」かもしれない。
9/12の韓国の事例でも書いたが、日本の給与水準が高いと思うのは、もはや大間違いである。シンガポールにはすでに抜かれている。確認しておくと、日本の国民1人当たり所得は4.05万ドル(2018年)と、シンガポールの7割でしかない。日本の労働者は怒らないといけない。
最後に、日本の世界的な立ち位置を確認するには「世界国勢図会」が最適である。毎年データを更新し、出版されている。(多分)デジタル版のないのが残念である。
2020/09/17