木ノ本駅からのコミュニティバス、8.38発というのがある。その前、7.04発というのもあるが、さすがに無理である。バスは、民間バス会社が委託を受けて運行している。
そのバスに、駅からもう1人の登山者が乗った。彼は古橋というバス停で降りた。己高山という900m台の山に登るのだろう。
途中から乗ってきた婆さんが杉野農協前で降りた。ふとそのバス停を見ると、横山岳への標識が大きく掲げられている。実はもう1つ先、杉野で降りるつもりだったのだが、「ひょっとして」と思い、急いで婆さんの後を追った。国道303号線の杉野バイパスが始まる地点である。横山岳の大きな案内板もある。
バス停から杉野の村の中を歩く。豊かな村だったのだろう、釣り鐘のある寺が複数あり、人家も立派である。村の北の外れ(杉野上)から網谷川の林道に入る。自然がまだ豊かな証拠に、車に轢かれたサワガニやヤモリの跡が複数あった。
横山岳への道標は完備している。コエチ谷への道を左(西)に分け、その少し先で、やはり左に白谷本流への道を分ける。その沢からの登りには五銚子滝があり、人気が高い。春にはいいだろうと思う。また、この分岐の手前に小屋と駐車場がある。
これらの分岐を過ぎて林道を進むと、アスファルト舗装が終わる。しばらくして、突如コンクリートの舗装になる。急坂だから。正面に赤い橋が見えると、横山岳の山腹に付けられた林道とぶつかる。そのぶつかった林道を右(東)に200メートルほど歩くと、左手(北)に東尾根登山口がある。付近から横山岳の山頂付近がよく見える。
登山口からは急登である。尾根にたどり着いても急登が続くが、歩きやすくなる。左手に桧、右手にミズナラなどの広葉樹の尾根が続くが、そのうちにブナが登場する。少しずつ勾配が緩やかになり、それとともにブナの純林に近くなる。
900メートル付近で金居原からの尾根道が合流し、ブナの紅葉が美しくなる。訪れた時、紅葉は800メートル付近から上部で始まっていた。
東峰は長いピークの一角にある。その手前から石灰岩質の小さな岩場が続くようになる。稜線からは展望が良く、比良、琵琶湖、鈴鹿、伊吹から北の稜線、白山が見渡せる。白山の手前に能郷白山、冠山もある。
東峰から少し下り、こんもりと広葉樹が覆う横山岳の本峰(1132メートル)に向かう。2つばかり小さなピークを越えた、一番端が本峰である。実のところ、東峰も本峰も標高的に差がない。谷からのコースは頂上の少し手前で合流している。
頂上には小さな小屋がある。使えるかどうかは不明(多分無理)。草地を林が囲んでいて、展望は琵琶湖側にしかない。
頂上は5人程度の団体によって占拠されていた。軽く昼食を取り、下ることにした。
横山岳から南に下る。やはりブナの多い気持ちのいい尾根である。ただし勾配が急である。所々に補助用のザイルが設置してある。800メートル付近で勾配が緩やかになり、ちらっと横山岳も見える。その先、もう一度急になり、峠(鳥越峠、500メートル)へと急激に下っていく。
峠では林道工事がされていた。登りしなにぶつかった林道の続きのようだ。峠から少しだけ登り返すと、コエチ谷へ下る道と墓谷山へ登る道が分かれる。
上の写真はブナの黄葉、下の写真は稜線からの白山である。
2020/10/28