近鉄桜井駅で降り、南口に出る。旧鹿路(ろくろ)トンネルの北側入口の横から細峠に登る計画だった。トンネルまで、バスを使う場合は桜井市のコミュニティバスで談山神社まで行き、そこから歩きとなる。約2.5キロの登りである。今回は駅からタクシーにした。
ところが、駅前のタクシー乗り場にタクシーが待っていない。奈良市での経験も合わせると、どうも奈良県はタクシーの台数が少ないように感じる。タクシー会社に電話をしようとしていると、1台やってきたので、多少はラッキーだったかも。トンネルまで2920円、電車を降りてから25分かかった。
トンネルの手前に山に入る道が2本あり、道標が立っている。1つは細峠へ、もう1つは竜在峠へ登っていく。標高560メートルからの登りである。
細峠に向かう。最初はトンネルへの道に沿うように上る。鹿路トンネルの南側出口の上部が見える。
よく手入れされた植林の中、コンクリート舗装の道が続く。山には水分が多いようで、道路の上を水が流れている。やがて水が少なくなり、舗装が終わる。地道ながら、広い道が峠へと続いている。
20分もかからず、あっさりと細峠に着いた。700メートル弱の峠だから、登り口からの高度差は大したことがない。
峠には芭蕉の句碑、「雲雀より 空にやすらふ 峠哉」がある。桜井から吉野に越す時に詠んだものだが、現在、吉野側は植林で隠れている。北東に音羽山が少し顔を覗かせているだけだった。 ヒバリを見るのは難しいだろう。
細峠のある稜線は奈良盆地(大和川)と吉野(吉野川=紀の川)を隔てている。東に稜線をたどれば竜門岳や音羽山へ、西にたどれば高取山から、低い峠を経て金剛山に至る。
今回は西に稜線をたどった。植林の中、軽四が通れそうなほどの太い道である。まず目指すのは752メートルの三角点のあるピーク、城ヶ峰である。ピークが近づくと、右手に尾根をたどる踏み跡がある。赤いテープが目印である。太い道はピークの南側を巻く。
踏み跡に入ると、植林の中に篠が生えている。鹿に食われるのか、全般的に背丈が低い。多少のアップダウンがあり、三角点に着く。植林の中で、展望はない。細峠から20分少しだった。
ピークを越え、竜在峠に下る。途中、吉野方面の展望がある。倒木のため、分かりにくい箇所があるが、赤いテープを探しつつ、篠の低い箇所を進めばいい。急な斜面を下りて竜在峠に着く。城ヶ峰から10分かかった。狭い峠である。談山神社側の冬野と吉野側の滝畑を結んでいる。
竜在峠からさらに西へと稜線をたどる。峠から7分程度歩いた場所に石仏が一体あり、後ろに桜だろうか、広葉樹がぽつんと残されている。
途中に道の分岐はあるが、標識が完備している。稜線が南を向き始め、竜在峠から45分で668メートルの三角点のあるピーク(滝畑とプレートに書かれていたが、南側の村の名前でもある)に着く。
このピークから西側の稜線を急降下する。補助ロープもある。マウンテンバイクか、道に轍ができていて、歩きにくい。
植林の中に広葉樹の灌木が目立ち始める。最後に急な下りがあり、車道が越す芋ヶ峠に着く。滝畑のピークから35分だった。ここで小休止した。
峠にはマタタビが1本あり、少しだけ実を付けていた。その実を口に入れると、熟していてうまかったニャー。
上の写真は城ヶ峰の三角点、下は芋ヶ峠のマタタビの実(中央右の茶色っぽい2つ)である。
2020/11/12