川北英隆のブログ

テレワークと有給休暇促進を

コロナがある意味、日本を助けている。でも、その助けをまだ十分に活用できていないのではないか。そう思うのは、休暇の取得である。勤労感謝の日を含めた連休を利用して旅行しようなんて、発想が古すぎる。
今日23日は違うのだが、通常生じるハッピーマンデーなんて愚の骨頂だと思っていた。多くが有給休暇を満足に(多分半分も)取得していない中で、官製の休暇を与え、連休を増やそうなんて、旅行関係企業が(誰なのかは知っているが)政府に頼み込んだ悪巧みとしか思えなかった。
今回のコロナ第3波により、この悪巧みの実害が誰の目にも明らかになった。移動を集中させコロナを祭り上げようというのか。ハッピーマンデーを早急に中止し、祝祭日を、少なくともかつての正当な日付に戻すべきである。
もっと言えば、連発して増やしてきた祝祭日を減らし、その代わりに有給休暇の日数の引き上げと、その取得率100%を目指すべきである。企業の義務としてもいい。
テレワークが進めば、半日の有給休暇も取得しやすくなる。これまでは、長い通勤時間をかけてオフィスに出向くのだから、半日で帰るのはいかにも無駄と思えた。テレワークによって自宅もしくは近くで勤務するのなら、半日で仕事を終えても無駄にはならない。かえって仕事にメリハリが利く。
そもそもテレワークの普及により、自分の意志に基づいて仕事ができるようになった。もちろん、仲間や上司とのコミュニケーションの確保が新たな課題となるが。
有給休暇は、このテレワークの延長線上にある。とくに企画をはじめとする少し頭を使う仕事をするには、休みを工夫して、一見無駄に見える時間を挟むことが重要となる。休むことで、仕事以外の世界を見聞きすることになる。その刺激から、新しい、ひょっとすれば斬新な発想が生まれるかもしれない。
10日ほど前の日経新聞の文化欄だったか、「逆境から生まれたアート」という連載コラムの中に、レオナルド・ダ・ビンチの「最後の晩餐」が登場した。その絵のコメントの中に、ダ・ビンチの言葉として、「優秀な人物は実際に作業をしている時より、頭の中で考えている時にこそ多くの仕事をしているのだ」とあった。
確かに、創造は頭の中の作業であり、手足を動かすのは付け足しでしかないのかもしれない。映画「アマデウス」にも、楽譜の製作を督促されたモーツァルトが、(正確に記憶していないが)「すでに曲は頭の中にある、後は書くだけ」と語る場面があった。
そう考えると、有給休暇を100日程度与えてもいいのではないか。「ええっ」、「そこまで有給休暇はやれんって言うの」、「あんたはダ・ビンチでなければモーツァルトでもないからってかいな」。そらそうだ。

2020/11/23


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