堂床山から下り、次に目指すは滝王山である。この滝王山への登り返し、どうするのか迷っていた。というのも、山頂への道は主稜線の北側もしくは南側からしかないようで、堂床山から下りた地点から見ると大きく回り込まないといけない。
滝王山の稜線は西も東も急であるため、登りにくいのだろう。とはいえ、ぐるっと廻るのは嫌である。迷っていたところ、堂床山から下ってきた林道の合流地点(北緯34°57′47.4″、 東経135°21′16.0″)に、滝王山側から明瞭な踏み跡が下りてきている。送電塔の巡視路のようだ。それを登れば山頂のほぼ西に接近でき、後は高度差100メートル強を直登すればいいようになる。これを「希望」に、まずは巡視路を上がることにした。
溝状になった、しかもマウンテンバイクが荒した道を上がると右に送電塔を見る。左に折れるように尾根を巻きつつ進むと、林道に出会う。滝王山の西麓を回る林道である。この林道を使って滝王山の尾根の北側に回り込むか、直登ルートにするか決めないといけない。滝王山の山腹を観察していると、落葉広葉樹林かつ灌木が少ない。簡単に直登できそうだった。
100メートルほど林道を北にたどると、右(東)に斜面を登っている道がある。地形図には、滝王山の西、標高390メートル付近から450メートルにかけて登っている実線路として記されている。
まずこの道に入り、高度を稼いだ。この実線路は標高450メートルで水平になる。後は落葉広葉樹林の中を直登するだけ。目指したのは山頂からほぼ真西に伸びるかすかな尾根である。登りやすいとは思ったが、落ち葉、枯れ枝、小さな倒木があり、多少は手強い。山頂が近づくと踏み跡らしきものも出てきた。山頂付近が植林なので、その作業用に通った跡か。
最後は植林の中に入り、大きな石の点在する滝王山に達した。南北の稜線には道があった。三角点はない。展望もない。再度水分補給した。
滝王山からは南東に伸びる主稜線を下った。よく踏まれた道と予想していたのだが、意外と踏み跡が薄い。かつ迷ったのだろうか、踏み跡が乱れている(ヤマレコでも足跡がいろいろ付いている)。注意深く下らないと誤る。最後の実線路に出る部分だが、これもコツがいる。明瞭な道に出ると思い、林の中を突き抜けないといけない。
実線路は、最初は笹の中だが、やがて明瞭になり、才ノ神峠に着く。三草山への登り口でもある。8本の道が交わっている「すごい」場所なのだが、歴史上も交通の要衝だったそうで、江戸時代の道標が佇んでいる。今はひっそりと、たまに軽トラが通るだけだが。
なお、竹内正『日本山名総覧』には堂床山と滝王山が漏れているようだ。
写真、上は堂床山の下りから見た滝王山、下は滝王山の山頂である。
2021/04/05