民田の善久寺は峠付近からでも見える。竜宮山の南西側、村より一段高い場所にある。ネットで調べたところ、その善久寺から登った記録があった。また、比較的なだらかな尾根が竜宮山から寺に向かって伸びてきている。以上から、登り口として適当だと思った。
寺への道は地形図のとおりなのだが、車道を使わずに近道をと思って、峠から北へと実線路をたどり、そのまま東に向かおうとするのは浅はかだ。実はその間違いをしでかした。
地形図の「猪名川町」の記載が、その「近道と思える実線路」を隠していて、実はその隠された部分で道が途切れている(民家になる)。パソコンで地形図を最大に拡大すればこの事実が判明する。しかしスマホではそこまで拡大できない。民家の手前で「あれっ」となった。
それはともかく、善久寺に着き、奥にある墓地の階段を登り、その最上部から右に巻くように尾根に入った。傾斜はゆるいが、踏み跡らしきものはないに等しい。灌木と倒木も多い。尾根が広いから、時々GPSで位置を確かめつつ登っていく。やがて竜宮山の東西の主稜線が木の間から見えるようになる。
主稜線の西の端、標高320メートルのピークは2つに分かれている。この付近から稜線のすぐ南側が伐採されている。このおかげで、迷うことなく主稜線に入れる。作業時のものか、不明瞭ながら踏み跡も出てくる。
小さなピークを越えつつ、竜宮山の三角点(392.0メートル)を目指す。実際のところは、GPSで確認しなかったため、三角点ピークの1つ先まで行ってしまった。見た目、三角点のピークより高そうだったので(等高線上は同じ高さ)。
竜宮山の三角点ピークは低い笹と広葉樹の中にある。展望はなく、乙姫様も不在か。小休止しつつ、下りをどうするのか少し考えた。南斜面の伐採地に作業用の道が付けられている。しかし、かなり前のもののようで、途中で崩れたりしている箇所がありそうだ。
山頂から少し下り、南側に広がる伐採地の様子を再度確かめた。伐採地は、寺のある集落の東隣り、グーグルマップ上で松ヶ谷とある数件の家が位置する谷に広がっている。
結局は作業道を下ったのだが、やはり崩れている箇所がある。最初、谷の右岸(西側)を下ろうとしたのだが、途中で道が怪しくなった。もう一度伐採地を確認し、谷の真ん中に戻り、左岸を下る方針を変えた。これが正解のようで、伐採地が終わり、植林の中に入り、最後は竹林を通って民家の横から車道に出た。低山ながら、1時間15分かかった。
車道を峠まで戻る。峠の南側に比較的広い地道が伸びてきている。その入口には「旧丹州街道」とある。深山の下りに見た天王を経て、篠山へと続く街道の一部らしい。今は遊歩道となっている。
この道を下る。途中、雨森山へのハイキングコースを分けるが、今回はコロナの危険時間が迫っていた。雨森山は次の機会に残し、能勢電鉄の日生中央駅に向かった。もしも雨森山に足を踏み込んでいたら、それが竜宮山に住む乙姫様からの玉手箱になったような気もする。
写真、上は民田から見た竜宮山、正確には主稜線の西端のピークである。下は竜宮山の三角点である。
2021/04/06