毎週の山、5日の週は琵琶湖の北東部にある己高山(こだかみやま、日本山名総覧では「こだかやま」)に登った。仕事が忙しかった関係で一般的な山を選んだことになる。
最寄りは北陸本線の木ノ本駅である。駅から湖北バスの金居原線に乗るのだが、8.38発の次は10.45発になる。その日の朝はゆっくりと寝て、新幹線で米原まで行き、そこから北陸本線に乗り換えた。新幹線の自由席は990円である。
バスは11時前に登山口の村、古橋に着く。登山口は村の与志漏(よしろう)神社神社の石段横にある。そこから時計と反対周りに登って下った。全部で3時間20分かかった。
古橋のバス停は村の西側を通る県道にある。適当に東に歩き、与志漏神社の石段下に出た。本当はここから北に向かって谷に入るはずだったのだが、いい加減にしかコースを見てこなかったので(記憶していなかったため)、南に村を下り、石道の村の外れから尾根に取り付くルートを選択してしまった。実のところ、それは下りに使うコースだったのだが、勘違いに気づいたのは己高山を間近に見てからだった。
石道の村の奥には石道寺と鶏足寺がある。ともに紅葉で有名らしいが、コロナで石道寺は休止になっていた。もっとも駐車場には車が何台か停まっていた。境内だけなら入れるようだ。
石道から寺の先まで明るい谷である。北国に近く、しかも雪の多い地域だから、春は少し遅くて桜は満開を少し過ぎた程度だった。やがて植林の中になり、車道が2方向に分岐する手前で左(北)に登山道を分ける。
植林の中を少し歩き、すぐに急登になる。最初のうち道はあまり整備されておらず、倒木もあるが、登るにつれて明瞭となる。植林を抜けて広葉樹林の中を上がるようになる。落ち葉が多い。独鈷水の表示を過ぎ、尾根を巻き気味に登ると、斜面が段々になる。モミジも多く、大きな杉が現れる。高尾寺跡である。
そこからは新しく整備された階段の多い急斜面を登り、己高山から伸びる南西尾根に出る。532メートルの標高点のすぐ東である。
稜線を東に登っていく。倒木が少しあるものの、気持ちの良い落葉広葉樹の林が続く。木の間から己高山も姿を覗かす。コブシが咲き残っている。送電塔付近では琵琶湖の展望があった。その後、植林の中を登ると、778メートルの標高点のあるピークに着く。
このピークから尾根は北を向く。少し下り、己高山山頂へと登る。キジかヤマドリか不明だったが、大きなメスの鳥がのんびりと歩いていた。残念なことに、どこかのハイキングクラブだろうか、20名近い団体と出会った。このため、ゆっくり観察できなかった。
落葉広葉樹の美しい林が続く。ガマズミか、白い花が咲いていた。遠くに金糞山とその稜線が見え、まだ谷には残雪がある。
やがて傾斜が緩み、針葉樹の混じる山頂に着く。展望はない。先客がいたので、三角点の写真を撮り、少し離れて食事にした。
山頂からは左手に折れるように尾根を下る。じきに右手に折れ、山頂からの西尾根を巻くようになる。平らな、北の尾根から水が流れ込む道になる。山頂部にあった鶏足寺跡である。仏像などは麓に下ろされたそうだが、灯籠だろうか、石が残されている。クリンソウもたくさん芽吹いていた。食用の菜っ葉の感じだが。
鶏足寺跡を抜けると道が明瞭になり、尾根を下る。歩きやすい。その尾根にはイワウチワの可憐な花が咲いていた。牛止岩、送電塔、六地蔵を過ぎ、ツバキの多い林を抜け、少し大きな谷に出る。ここからは車の通れる道である。道端にイカリソウが咲いていた。
登山者用の駐車場を過ぎて振り返ると、己高山が立派だった。そこからすぐに与志漏神社の石段である。
古橋に戻った時間帯にはバスがない。木ノ本駅から大阪方面に向かう電車には1時間近く間があり、タクシーを呼ぶには早い。そこで、駅まで歩くことにした。35分くらいで駅に着いた。駅にある地元の店でワラビとコゴミを買い、京都に戻った。
写真、上は己高山の山頂、下は六地蔵である。
2021/04/11