山の花が好きだ。植物が好きだと言っておくのが正確かもしれない。だから冬の雪の山にはあまり入らない(寒いからやろ)。植物を研究するため理学部に入ろうと思ったこともある。中学校の先生の影響かもしれない。その道に入っていたなら、今の生活とは様変わりだろう。
それはともかく、今年は関西の春の山に集中して入り、花が豊かなことを再認識した。高校2年生だったか、吉野の奥に住んでいた知り合いの家に泊まりに行った時、山桜の魅力を知った。このため関西の山の豊かさを知っていたのも確かだが、春の山をじっくりと、集中して歩いたことがなく、細部までは知らなかった。
ということで、今年知った関西の山の春の花を少し紹介しておきたい。
最初はコブシである。コブシの実物を初めて見たのは大学1年生の時である。クラブ活動で長良川の上流部にある大日ヶ岳(1709メートル)に登った。上級生が道を間違え、背の高い笹を掻き分けて何とか登頂した。残雪もあったと記憶している。そんな山の稜線に白い花、コブシが咲いていた。だから、コブシは高山の花というイメージが強かった。
そのコブシを今年の春、京都や大阪の500メートル程度の山で何回も見たものだから驚いた。確かに庭木として平地にも植わっているから、「そうか」と思うのだが。
残念ながら、低山に咲くコブシの周囲には常緑樹の緑も点在する。だからすかっとした印象に乏しい。しかし50年以上も前に初めて見たコブシの印象と重なり、「ここにも咲いていたのかいな」と声を掛けたくなる。
写真は小和田山の登山口に咲いていたコブシである。これが一番スカッとしていた。後はというと、送電線が写り込んでいたり、茶色や緑の林と一緒だったりする。この写真だって下から見上げたので、緑の写り込みが少ないだけだ。
2021/04/12