日本の株式に投資をしていると、この時期、事務的な郵便物が届く。株主総会関係の書類である。場合によっては配当金も入っているので開封すべきである。
3月期決算の企業のほぼすべては6月末までに株主総会を開催する。郵便物には、そこでの議案書、事業報告書、株主総会での議案に対して賛否を表示するための用紙が入っている。
数社に1社は配当金を取締役会決議として決めているので、その支払通知書が入っている。それを郵便局などに持っていくと配当金がもらえる。もしくは、配当金を銀行や証券会社の口座で受け取れるように手続きしていると、支払ったとの通知書が入っている。
ここで書きたいのは、株主総会での配当以外の議案に対する賛否の表明である。配当のことは5/11に書いたので、それを参考にしてほしい。
株主総会に零細な個人投資家が投票したところで、何年か前までは大きな影響がなかった。決議事項には会社側が提案するものしかなかったし、それに対して大株主が「賛成」するに決まっていたからである。
しかし、最近では状況が大きく変わってきている。会社側が提案した決議事項に対して大株主が「反対」するケースが増えてきた。また株主側の提案による決議事項も増えてきている。後者の場合、多くは「難癖」に近いのだが、中には重要なものもある。
僕自身、数年前まで株主総会での議案に対して賛否を表明したことがなかった。でも最近では、現実を観察するため、株主総会に何回か出席した。その時には賛否を表明した用紙(株主総会の招集通知書に入っている)を持参している。なお、株主総会に出席するとお土産(1000円から2000円程度)をくれることが多いので、それもある意味で楽しいのだが、コロナが生じたこともあり、去年、今年と期待度が急速に低下している(昨年も今年も僕は欠席である)。
本題だが、今年から、株主総会に出席しない場合でも特別な議案に対して賛否を表明することにした。賛否の表明には、株主総会の招集通知書に入っている用紙を使ってもいいし、ネットを使ってもいい。
では、特別な議案とは何なのか。今のところ取締役の選任議案である。とくに社外取締役の適否を判断している。僕の場合の社外取締役の賛否の基準は簡単で、上場会社の社外取締役を4社以上兼ねようとしている場合には「反対」することにしている。本当は3社以上でも「変やん」と思っているのだが、今年は4社以上とした。なお、来年は3社以上にしたい。
というのも、僕も経験上思っているのだが、上場会社(もしくはそれに相当する会社)の社外取締役をまじめにやるには時間を要する。多分2社が限度に近く、3社は限度オーバーになることが多い。この点は付き合いのある有識者の見解とも一致している。また、金融庁主催のコーポレートガバナンス・コードに関する会議の場でも、この趣旨の発言をした手前もある。
残念なことに、企業経営の分野の専門家かつ経産省の報告書(レポート)で名を成した某I氏が(数えたことはないのだが)、多重債務者ならぬ多重社外取締役就任者だったため、「それでええんや」と企業側の基準が極甘になっている。そんな風潮に釘を刺すため、多重者には反対することにした。
ついでに書くと、某日東電工の取締役選任議案には、候補者が他社の取締役として現任である場合には太文字で印刷されていて、わかりやすかった。優れた企業の優れた配慮である。
2021/06/01