播但線(単線、姫路と寺前の間が電化)の寺前駅に列車が着いたのは9時12分だった。これが京都から来た場合の最速である。寺前駅のタクシーが心配だったので、姫路駅で予約した。現地でちらっと見たかぎりでは複数台あるようだったが。
播但線の列車は空いていた。夏の始業時間が早いのか、学生もほとんどいなかった。
タクシーを使うと登山口まで15分程、3540円だった。標高400m付近まで運んでくれる。
往復する予定だったので、登山口から直登コースを上がった。本当は滝(扁妙滝など)を見ながら登るコースのほうが良かったようだ。
直登コースは植林の中で、岩がゴロゴロする標高差200m位を一気に登る。その後は右手に谷を見ながらの緩やかな道になる。整備されている。谷沿いに入ってすぐ、滝見台への道(滝周りの道か)を右に分けるのだが、これにも入らなかった。今から考えると残念である。
やがて右の谷と高さが同じになる。水が一枚岩のような緩やかな斜面を流れている。なかなかだ。
谷を左岸(流れる方向の左側)へと渡り、再び稜線を登る。この登りには踏み跡がいろいろとある。テープが多い。しっかりした踏み跡を探しつつ登る。標高770m付近で道が分かれる。メインは右にトラバース気味の道なのだが、今回は尾根を直登することにした。よく踏まれているので迷うことはない。広葉樹と灌木が多くなり、笠形山の山頂に出る。
広くない山頂に東屋風の休息所が2つある。軽い昼食を取りつつ、展望(千ヶ峰、段ヶ峰などの生野方面の山々、姫路方面など)とホトトギスの声を楽しんだ。サンショウの葉があったので、夕食の香辛料として少しもらった。
どう下ろうかと思案し、南に下ることにした。この下りは、南の笠の丸(883m)で滝(仙人滝)コースと笠形神社コースに分かれる。今回は由緒ありそうな神社コースにした。
頂上に南から1人登ってきたのを潮時とし、下山を始めた。笠形山から南への下りは岩が多い。少し荒れた感じだった。鞍部へは寺前からのメインルートが上がってきている。そこから一登りすると笠の丸である。笠の丸はどうということもないピークだったが、手前の松が美しい。笠形山の山頂が木の間に見える。
ここから左(南東)に下る。整備されているのだが、木製の階段が多い。ルートが尾根から左に外れ、小さな谷に下るようになると、程なく神社である。予想していたよりも立派だった。社殿の付近には夫婦杉をはじめ、大木が目立つ。1959年、姫路城の解体修理時に、新しい心柱用にと神木だった桧が伐採されたそうだ。
神社から下は狭いながらも車道になる。一部は車が通れるように整備されているものの、かつての参道も使われ、所々に丁目の刻まれた石仏がある。
笠形寺を少し遠くに見つつ笠形神社の鳥居まで下る。そのすぐ上に獣避けの柵がある。鳥居を抜けると上牛尾最上部の村に入る。その集落の下で滝コースと合流する。
後は川(岡部川)沿いに歩くだけ。暑い道は嫌だなと思っていたのだが、幸か不幸か冷たい風が後ろから吹いて来た。見ると笠形山の上が真っ黒い。雨が降り始めたようだ。その雲を気にしながら道を急いだ。福崎の手前に城山(323.4m)というピークを地形図で見つけたのだが、それに寄ると俄雨の直撃を受けそうだったので諦めた。
最後は姫路に注ぐ市川に出た。国道312号線を少し歩き、月見橋という由緒ありげな、でも狭い橋を渡り、駅に向かった。月見橋の手前、市川の左岸に柳田国男の生家があること知ったが、俄雨が迫っていたので、これにも寄らなかった。最後は傘を使い、駅に滑り込んだ。
写真、上は笠形神社の夫婦杉(奥の2本の杉)である。樹齢850年かと書いてあった。下は福崎に向かう途中で振り返った笠形山である。上空に黒雲が懸かり始めていた。
2021/06/25