川北英隆のブログ

東大卒でなくて良かったね

西村康稔経済再生担当大臣が、「酒の提供を続ける飲食店に対して(酒類提供停止を順守するよう)金融機関の働きかけを要請した」とか。それを聞いた瞬間、「何も考えてへん」なと思った。
というのも、独占禁止法によって優越的地位の濫用が禁止されている。銀行と飲食店の関係はというと、誰もが思うように銀行の圧勝である。現在の銀行の地位の低下を考慮すれば、「普通は圧勝である」と表現するのが正しいかもしれないが。
それはともかく、銀行が圧勝であれば、銀行がその力を利用し、「酒を提供してたら、この先どうなるんか分かってるやろな」と言えば、それは「ヤ印」の発言と同様、法律違反である。銀行の場合は独占禁止法に違反するのだが。
そんな政策担当者なら当たり前の関係と制度を、西村大臣ほどの秀才が分からなかったのか。というのも、彼の経歴は、灘高校卒、東大法学部卒、通産省を経て政治家である。大学で独占禁止法のことを勉強しなかったのか。でも法学部であるし、不思議。
僕は個人の経歴に興味がない。というのもこれまでの経験から、学歴と能力とは一致するものでないと確信しているから。なお西村氏の学歴を朧気に知っていたのは、灘経由東大の知り合いがある時、「同級生だった」と言っていたからにすぎない。
思うに、自分の天性に即した勉強、努力、訓練をどれだけしたのかが、個人の能力を大きく左右する。努力のイチローが天才松阪に対し、「(野球を)なめてやっているやろ」と言ったのは有名な話だが、これは野球に限らない。
灘高や東大に入れたのは何らかの素質があったのだろう。しかし法学部を出て独占禁止法のことを考えなかった(独占禁止法に関係するとイメージできなかった)のは大いに抜けている。将棋や囲碁の対局で時間に追い詰められていたのならポカかも知れないが、そうではないのだから、無知と言われても仕方ない。東大に酔いしれ、その後は遊んでいたのだろう。
知り合いの同級生だから西村氏に親近感があり、その彼に悪口や皮肉を言うつもりはない。言いたいのは、どこかで(といっても30歳前後までだろうが)自分の素質に即して、ちゃんと勉強、努力、訓練をすれば、中途半端な東大卒なんて「何のこっちゃ」ということである。皆で勉強しない東大卒を馬鹿にするにかぎる。

2021/07/10


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