昨日、8/7は立秋だった。確かに太陽の光には角度がつき始め、ぎらぎらした印象が薄れ、色彩が表れてきた。熱帯低気圧がもたらした俄か雨のおかげで大気から塵が除かれ、青空が目立つようになったせいでもある。
先日、久しぶりに東京に行った。仕事の関係からビデオ撮りをしてきた。撮影は、それがたとえ単なる写真であっても苦手である。四角四面だから。
緊急事態宣言が出ているので新幹線は比較的空いていた。でも、これまでの緊急事態宣言と異なり、1車両に数人の乗客ではなく、その10倍近くは乗っていたようだ。
始発の新幹線に乗り、朝早く通過したこともあって、富士川の鉄橋付近には溶岩がむき出して青黒い富士のシルエットがあった。剣ヶ峰がきりっとした辛口のシャンパンよろしく天を突き、左右の裾野が乾杯の手のような長い曲線を描いていた。往来者を招き入れるのだろうか。
夕方、帰りの三島付近からは、北斎の「凱風快晴」に登場するような、頂上付近が水平に近い富士山があった。朝と同様、淡い光の中、山全体はシルエットに近かった。
太陽の光線からすると立秋なのだが、熱気はピークに近いのではないか。8/5の京都の最気温は38.7度、今日8/8は37.7度だった。当然のごとく熱帯夜が続いている。
そんな中、道路には熱気で弱った者達の姿がある。
歩いていると茶色く小さな柿の種のような塊があった。チャバネゴキブリが誰かに踏まれたのか、平になってくたばっていた。
同じような、でももう少し大きな栗饅頭のような塊も見つけた。地面に落ちたアブラゼミがやはり踏まれて夏の名残りを主張するかのようだった。この主張、今時の立秋と同じで、少しだけ早まっているようにも思えるのだが。
それにしても日本の南の海上は賑やかだ。ここ数日は豆台風が3つ、東に進んでいる。豆だから、今のところ京都付近には蒸し暑い風だけを運んで来るだけで、雨はさっぱりである。今夜以降は一番西にある台風9号の頑張り次第で雨がありそうだ。天気予報がいつもながら警戒するようにと叫んでいる豪快な一雨を、京都に住んでいる者としては期待したい。
2021/08/08