今週は東近江市の日本コバ(934.2m)に登った。コバとは木場のことらしい。この山の麓を流れる愛知(えち)川は木地の発祥師の地とされ、上流の君ヶ畑にはその名も大皇器地祖(おおきみきじそ)神社があるから、日本コバでも木地になる木材が伐採されたのだろう。
また「日本」は「二本」が変化したものともされているが、僕としてはそれ以上調べていない。
日本コバへのアプローチは厄介である。一般的なルートは日本コバの東側の尾根や谷筋を登るものである。ではその登山口へはどうするのか。公共交通機関としてコミュニティバス(君ヶ畑方面行き)があるとはいえ、本数が限られている。
そこで今回は一般ルートを使わずに歩くことにした。
京都から行くには、JR東海道本線で近江八幡に行き、そこから近江鉄道で八日市に出る。さらに八日市駅からは近江鉄道バスの永源寺車庫行きに乗り、終点で降りる。これで二本コバの南尾根に入れる。なお1つ手前のバス停(永源寺前)で降りれば紅葉で有名な永源寺まですぐである。下山後に時間があれば寄ることにした。
永源寺車庫のバス停から愛知川沿いに歩き、松尾谷から日本コバの南尾根に取りつく。その前に識廬ノ滝に少し寄り道した。
この南尾根コースは途中まで永源寺ダムへのハイキングコースとして整備されたものらしいのだが、今では登山者以外は歩いていないようだ。南尾根に出て、そこでハイキングコースと分かれる。その先、一般的な登山道とは言えないものの、踏み跡は比較的しっかりしている。迷うとすれば広葉樹が落葉した直後の、踏み跡が隠れる頃の下りだろうか。
山頂は灌木に覆われた程度ながら、展望がない。先客が1人いた。名の知られた山である証拠だろう。
山頂からは西尾根に入る。尾根の入口付近は一般ルートの延長で、赤テープが多く、よく踏まれている。その先はバリエーションコースになる。尾根の中間地点付近には倒木、灌木、サルトリイバラ類が踏み跡を覆った箇所も多く、また尾根も広いので地図を睨みながら歩いた。
この苦労も3系統の送電線が尾根を越える手前で終わる。巡視路のおかげである。送電塔を過ぎるとすぐに尾根が南へ大きく向きを変える。その先で白鹿背山(はっかせやま、755.4m)の山頂を越える。
この尾根には西の平野部に向かった分岐が何本かある。今回はあくまでも尾根を南に下る。707mのピーク(明神山)の先で巡視路が終わる。そのすぐ先の高野山(たかのやま、684.8m)から南は地元が整備した登山コースとなっている。とはいえ、あまり歩かれていないので、小さいながらも倒木が多く、それが道を塞いでいて邪魔だった。
尾根をほぼ南に歩き終え、高野町の上部に下りた。「これで平地」と思ったものの、何とか探しだした永源寺前バス停への道が廃道に近かった。獣避けの柵をくぐり、やっとバス停にたどり着いた。次のバスまで30分ほど時間があったので永源寺に参った。
永源寺車庫前から日本コバまで2時間、白鹿背山まで2時間10分、永源寺前バス停まで2時間だった。
上の写真は松尾谷の識廬ノ滝である。滝の下の沢には水がないのに、滝の水量はまあまあだった。下は明神山の手前から見た日本コバの西尾根である。一番奥が日本コバだと思っている。
2021/08/12