川北英隆のブログ

芸者の爪砥ぎ

トクサという植物を知ってるだろうか。漢字で木賊と書く。ツクシの親分みたいな姿をしている。実際、トクサはツクシの親分らしい。ツクシ(スギナ)はトクサ属とのこと。
昨日、あるテレビを見ているとトクサらしき植物が映った。と、カミさんが「芸者の爪砥ぎやな」と口走った。「何や、それ」と反論とも疑問とも感嘆ともつかない言葉を発した後、「そう言えばトクサは研磨材として使われるな」と冷静さを取り戻した。
確認したところ、トクサの表面(茎なのか葉なのか)には珪酸が蓄積されているのだとか。一般に珪酸は岩石の主要な成分であり、有名どころとして石英や水晶になる。
トクサを複数本持って擦り合わせると、ギシギシ音がする。その音は珪酸の仕業らしい。珪酸は固いから研磨材になる。しかもトクサの珪酸は細かいから、緻密な細工に向いているらしい。
そこで、ホンマかどうかは知らないが、日中にたくさん時間がある芸者は、旦さんのため、トクサで念入りに爪を磨いたのだろう。一般人にそんな時間はない。
ついでに日本国語大辞典で「芸者の爪砥ぎ」と「トクサ」を調べてみた。残念ながら「芸者の爪砥ぎ」は出てこなかった。
カミさんに「大阪で言うのか」と聞いたところ、「東京のバイト先で聞いた」とのことだった。バイト先といっても、これも残念ながら水商売関係ではなく、堅気の会社だった。念のために。

2021/09/13


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