川北英隆のブログ

塔婆と墓石

昨日のブログのタイトル、「国債市場に塔婆」は日本国に失礼だったかも知れないが、この塔婆(卒塔婆)には連想が働いていた。それも2つの。
アメリカの証券市場で「tombstone」つまり墓石といえば、株式や債券などの発行時に作成される、証券会社や金融機関の新聞広告や募集用資料を指す。文字や数字だけが並んでいて、あたかも「墓石」のように見えるからという。「トゥームストーン」と訳さずに言ったり、約して「墓石広告」と言われたりする。
このことを知ったのはもうは30年以上前か。前の会社の国際金融を担当していた部署の役員室だったか部長室だったか(当時の部長は偉かった)に入ったら、シンジケートローン(協調融資、平たく言えば共同融資)に参加した記念品が飾ってあった。融資先、金額、参加した金融機関などの書かれた紙だか金属板だかを透明なプラスティックの中に収め、飾れるようにしたものだ。
「これ、何て言うか知ってるか」と聞かれたのか、「これ、何ですのん」と質問したのかは忘れたが、その時に「tombstone」、日本語で「墓石」だと教えてもらった。「カネを借りて企業が死ぬのかな」と隠喩も感じたが、それは言わなかった。
そのtombstoneを大文字でTombstone書けばアメリカ西部(アリゾナ州)の、かつての銀山の町だそうで、今は「生きた博物館」として観光名所になっているとか。「OK牧場の決闘」の舞台でもあるらしい。このTombstoneという町名は、まさに過酷な環境だから付いた名だともある(ウィキペディア・トゥームストーン)。
そんなことはともかく、塔婆の発想にはもう1つの伏線があった。最近の研究対象である「京都の北山」である。周山町の北側、京大の演習林のある南側の地形図を見ていると「ソトバ山」という山名が目に飛び込む。「卒塔婆山」である。その名の由来は調べていない。いずれ(今年の晩秋にでも)その周辺を歩くだろうから、分かれば報告したい。
多分、「塔婆」という単語が浮かんだのは、この山名が直接影響したのだろう。確かなのは、昨日がジジババの日だったからではない。

2021/09/21


トップへ戻る