本日から東証の新市場がスタートした。プライム、スタンダード、グロースの3つである。言い換えると、東証第一部、第二部、マザーズ、ジャスダックの時代が終わった。
この新市場の上場企業数は、プライムが1839社、スタンダードが1466社、グロースが466社である。この数を聞いてすぐに思うのは、「プライム(英和辞典によると、「主要な、最上等の」)というからには選ばれた企業のはずやのに、それがスタンダードよりも社数が多いのや」である。
今回の市場再編に関する週刊東洋経済のインタビューにコメントし、「大山鳴動して鼠一匹」と感想を述べたと思う。東証第一部と比べてプライムの上場企業数は300社以上減った。しかし、プライムに残らなかった東証第一部の企業は「きわめてマイナー」な企業がほとんどである。だから、「トカゲのしっぽ切り」のようなものと考えていい。切られた社数はそれなりに多いものの、ごく小さな企業、投資家にとって意味に乏しい企業がほとんどだった。
「大山鳴動して鼠一匹」も「トカゲのしっぽ切り」も言い過ぎかもしれないものの、ここではその意を強調しておきたい。すなわち、単純に「東証に頑張ってほしい」にある。日本企業がアップルやグーグルのように再び世界に輝くには、非常な努力が求められる。その努力とは企業がするものなのだが、その努力に向かわせるのは日銀であり、東証である。この東証の役割に期待する。
だから、「プライムには、せめて時価総額1000億円以上を求めればよかったのに」と考えている。「プライムから落とされたら、第一部上場で得てきたブランドが剥げ落ちる」と嘆願(?)した企業があったとか。しかしそれは「企業の勝手やん」「プライムに入りたいのなら、死ぬ気で努力するしかない」と思う。
とはいえ、実際のところプライムが1839社でスタートしたからには、これまでの日本の遅々とした制度改革のスピードからして、すぐさま1500社になり、1000社になりとはいかない。
そこで提案するのが(実は15年ほど前から提案しているのだが)、かつてあった「特定銘柄」のように、プライムからさらに企業をよりすぐる方式である。オールスター選手を選び出すようなものか。50社でも100社でもいい、日本が誇る企業を選び出し、その企業だけの独自の株式売買を成立させる方法である。
たとえば、そんな素晴らしい企業の株式を個人にも保有してもらいたいとして、1株単位で売買できるようにすることとか、売買代金の決済日を翌日にすることが考えられる。また株価指数も、この特定銘柄だけで計算されるものを作ればいい。
日本が誇る企業、すなわちプライムと称せられる企業が2000社近くもあるはずがない。これはごく常識的な感覚だろう。むしろ100社もあれば、それだけで世界に誇れる。本当にエクセレントな企業を選び出してくれるよう、東証に大いに期待したいものだ。
2022/04/04