春の花には蝶である。郡山の実家はいよいよ虫の季節になっていた。
アブだろうか、小さいのが顔の周りを時々飛ぶ。これから夏が終わるまで、この種の小さな吸血鬼に追い回される。
クマバチがブンブンと飛んでいた。ミツバチの親戚なので、こっちがちょっかいを出さないかぎり危険性はない。
巣作りの場所を探しているのか。そういえば「クマバチの巣のことを聞いたことがないな」と調べたところ、ミツバチのような大きな巣を作らずに、木に穴を開けるなどして卵を生むとか。そういえば小さな穴を探していたような。この点はジガバチなどに似ている。
ついでに書くと、「クマバチ 巣」で検索したところ、駆除の方法が出てくる。環境のことを考えると、刺さないハチの駆除なんてもってのほかである。ジガバチも刺さない。
その手の、場合によっては怖れられる虫とは別に、蝶が飛んでいた。黒い蝶、ナガサキアゲハ(メス)だろう。飛び疲れたのか、長らく羽を休めていたのでちゃんとした写真が撮れた。
家に帰ってからネットで調べたところ、肩(頭部の横)の赤いアゲハの写真は見つからなかった。我が家に昆虫図鑑はない。そこで使ったのがグーグルの「レンズ」である。それでナガサキアゲハだと知り、ほぼ納得した。
このナガサキアゲハ、九州の南から徐々に勢力圏を広げているそうだ。「あんたも温暖化の申し子かい」と写真につぶやいておいた。
思い出したのは中学1年の入学時、今も親しいTM君が「チョウチョが怖い、気持ち悪い」と打ち明けたことである。前にも書いたかもしれないが、「そんなヤツおらんで、まんじゅう怖いかな」というので、口の中に蝶を入れ、別の時には筆箱に蝶を入れ、TM君の目の前で手品よろしく出してみせた。飛び上がらんばかりだったのには、こっちが飛び上がった。
2022/04/24