川北英隆のブログ

賃金は韓国を見習うべき

忙しくて(どこが?)、読んでいない新聞が何日分かある。それに目を通していると、5/19の日経に、韓国の大企業が若手の優秀な従業員向けに高い賃上げをしたとある。グラフもあり、サムスン電子の従業員11万人の平均給与(21年)は1440万円とか。「ひぇー」かな。
そのサムスン電子の平均給与は前年比13%増加したともある。他の情報通信企業の平均給与も1000万円を超えているし、上昇率も高い。賃金を上げないと優秀な人材が集まらない。逆に逃げられてしまう。
この記事をざっと読んで、まず2つのことを思った。
1つは、日本で1000万円超の給与をもらっているサラリーマンがどれだけいるのかである。「憧れの年収1000万」というネットの見出しを時々見る。検索すると、日本では5%程度が1000万円超えらしい。30歳代で1000万円は全体の1.2%という見出しも出てきた。
ちゃんと調べる気もしないが、日本の1980年代のバブルの頃と大差ないのではなかろうか。国内総生産(GDP)の統計などからしても、40年間というか、ほぼ半世紀にわたって日本の賃金水準は停滞したままだろう。
日本はもっと頑張らないといけない。というのも、年間1000万円の給与をもらったところで、都心で普通の生活をすれば大した貯蓄ができない。家を買おうと思って貯金したとしても、預金金利ゼロの日本では陽炎を追いかけるようなものかもしれない。
もはや大企業のサラリーマンの場合、韓国に完全に追い抜かれたのかもしれない。というのも当然で、サムスン電子などは時流に乗り、業績が伸びているからである。日本でサムスン電子と渡り合える企業がどれだけあるのか。
2つは、日本の若者は自分の能力を高め、手に職をつけて、いつでも、どこにでも転職できるようにしなければならない。年功序列には大きな前提がある。勤めている企業が何十年後も隆々としていて成り立つ。多分、その前提は多くの場合、幻想である。「今、給与として支払ってもらわなければ、一生もらい損なう」と考えるのが合理的である。
企業が世界的に競争している。技術革新も激しい。ウクライナ問題が象徴するように、社会や経済環境も大きく変化する。そんな中で頼れるのは自分自身であり、少数の仲間であり、そして資産である。もっとも資産の場合、日本が存続するという前提が必要かもしれない。
「政府が何かしてくれる」という思いを理解できるにしても、その政府が動こうと考えるのは、国が危機的状態に陥ったと国民の誰しもが認識してからである。国が動く前に、自分自身で動かなければならない。そう想定しておくのが正しい。
ついでに書けば、以上の2つの思いが日本には乏しすぎる。日本が実に平和で豊かな国だった名残りである。しかし、かつての平和が脅かされている。また豊かさも、金銭面だけでいえば、最初に示した韓国の給与水準が明確に語るように、日本の優位性が崩れている。
いずれにせよ、自分で考え、自分で行動することが日本の若者に求められている。少なくとも老人に(老人の多い経営者や政治家に)任せていたのなら、とんでもない方向に日本が向かうかもしれない。そこまで落ちぶれるのは極端としても、まあ碌なことはない。老人は先が短い。だから若者の時間軸とは当然ずれるものだから。

2022/05/23


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