川北英隆のブログ

株式は長期投資で決まり-2

前回のブログ「株式は長期投資で決まり-1」に2つ付け加えておく。配当の効果と、企業の選別が重要だとの事実である。まずは配当の効果を考えておく。
前回の図にある株価の推移は配当を考慮していない。残念ながら東証株価指数(TOPIX)に配当を加えた数値は1989年からしか得られないため、前回の図で示せなかった。
そこで別途、配当の効果を調べてみた。
すると、1990年(バブルが崩壊を始めた年)以降、配当は毎年平均して1.45%の投資収益率をもたらしてきた。2000年以降は毎年1.77%である。長期に株式を保有すると、この配当による投資収益率が付け加わる。なお日本企業が株主に対して配当での利益還元を少しずつ高めてきたから、最近になるほど配当の効果が高くなる。
注意深い読者であれば、前回の図に対して、「長期投資がリターンをもたらすと言うけど、株価はまだバブルの頃の高値を超えてへんやん」「ということは、30年以上保有してても投資収益はマイナスやん」と思ったかもしれない。
「株式市場が浮かれているバブルの時に投資した者が悪い」と言えばそれだけのことである。しかしその当時、煽られて株式を買ったとしても、実のところ、配当を加えると今はプラスの投資収益になっている。その投資収益を率に直すと、年間わずか0.13%なのだが、今の普通預金よりましである。
図はTOPIX(東証株価指数)と、配当込みのTOPIXの推移を示している。1989年末を100にしてある。上にある赤い線が配当込みのTOPIXであり、1989年の高値を上回ってきていることがわかる。
20220627TOPIX配当込み.jpg

2022/06/27


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