矢田寺の北は墓地であり、簡易のお遍路道になっている。イノシシ避けを通り、道は西向きになって谷筋を上がっていく。池(露ナシ池)の横を通り、一登りすると稜線上の峠に着く。この峠から、その300メートルほど北にある矢田丘陵の最高点を往復した。
矢田丘陵の植生を一口で表現するなら、雑然としている。植林もあれば、人の手の入った灌木の多い林もあり、クヌギ類も目立つ。かつてマツタケ山だったにもかかわらず、歩いた時に松が目立たなかったのは、松くい虫(マツノザイセンチュウ)によって早くに枯れ果てたためだろうか。
峠から北への道は2つに分かれるが、どちらを上がっても最高点に行ける。最初は340mの独立標高点のある展望台に着く。「矢田山」のプレートがある。展望台に上がると、西に生駒山が大きく、信貴山も見える。奈良盆地の北西側の象徴である生駒山の展望としては、多分だが、最高だろう。奈良盆地側は、東山は見えるのだが、盆地は(奈良市や大和郡山市の市街は)展望台周囲の木が邪魔していた。
少し下り、さらに北に向かうと休息所がある。その数歩奥の林の中に「343.3m、矢田山最高点」のプレートがある。矢田山の最高点ということは、矢田丘陵の最高点でもある。
休息所から奈良盆地の北半分の展望が得られるので、それを見ながら昼食にした。
なお、(いつもながら)帰ってから調べていると、矢田山の最高点の北側に331.8mの三角点(点名は矢田山か)があるとの記録を見つけた。地形図では、休息所の建物の印から北北西へ200メートルばかり離れた330mの等高線の地点らしい。「ええっ、そんなんなかったやん」と国土地理院のサイトに入って調べ直すと(つまり、国土地理院の地図は毎回事前に見ている)、「やはりないやん」。
でも不思議である。そこで、この「幻の三角点」のことをもう少し調べてみたところ、「消失」したとの情報を得た。要するに国土地理院が撤去したらしい(一番ちゃんとした三角点消失の記録にリンクしておく)。手元に古い国土地理院の地図がないので(実家に置いたままである)、次の機会に幻の三角点の実在を確認したいと思う。
上の写真は展望台からの生駒山である。下は矢田山最高点である。木に掲げられた白いプレートが小さく写っている。
2022/06/06