川北英隆のブログ

急速な円安はどうなる

ドル円相場の明日が「どうなる」と問われても、答えは「わからない」でしかない。「そんなん、わかったら大金持ち」である。でも長期的な方向感としては「さらに円安が進むのだろう」であり、「日本人として円安に備えるべきだ」と答えるしかない。
今回の円安の要因に関して、新聞情報などは「日米の金利差、さらには日欧の金利差の拡大」と書き立てている。つまり欧米が政策金利を上げつつあるのに対し、日本はゼロ金利近辺のままだと説明する。でも、金利差が何によって生じるのか。
金利水準は経済実態を写している。日本が20年以上にわたり低金利を続けているのは、経済活動が冴えないからにすぎない。欧米、とくにアメリカが政策金利を上げつつあるのは、経済活動が活発で、放置すると加熱するからである。
言い換えれば、円安は日本経済の低迷を写している。日本経済が活発化する兆しさえ見えない。大企業が国内において消極的でしかない、国内では縮小するパイをめぐり熾烈な競争を続けている。政府はその熾烈な競争を後押しするように敗者が出るのを許そう、認めようとしない。
このため、力のある大企業は国内を見限り、海外での事業展開を加速している。そちらの方が儲かるからである。さらに海外で稼いだ利益を海外での投資に使おうとしている。だから日本に還流してこない。円安の流れを止めるには、日本での事業展開を儲かるようにして、国内での投資を活溌化させるしかない。
とはいえ日本経済が成長したら、別のネックが生じる。少し前、電力行政を批判したように、成長すればそれに見合う電力が不足するのではないか。とくに夏と冬である。現状の経済の低迷が今の日本の行政に似合っているような。情けないが、それが本当のところだろう。
ということで、円高に反発する材料が当面見当たらない。残念なような、停電しないことからすると幸いなような。でも本当のところ、円安になると他国との比較で日本の地位が沈み、日本国民の生活水準が落ちていくのだが。

2022/06/10


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