川北英隆のブログ

行政も分散投資を学べや-2

行政が分散投資すべきは人的資源であり、インフラ等の物理的財産である。今はその資源を、首都圏を頂点とした大都市圏に集中投資している。友人は、洪水、地震、火山爆発などの大災害が起こればそれらの資源はどうなると言う。他国が日本に侵略するのも簡単である。
政府は「災害がいずれ起きる、その災害に注意や」と叫んでいる。洪水、地震、富士山爆発の被害想定を公表している。しかしそれだけに近い。首都圏の住民にとって、「そんなこと叫ばれたかて、どうすりゃいいのさ、この私」(方言がちぐはぐかな)である。
もちろん多少の対策はしてくれている。高速道路を補強するとか、河川の堤防を高くするとか、学校近くのブロック塀を何とかするとか。でも国民の命や財産を本当に守るには、住居、工場、会社の本社機能の分散が必要となる。
そういえば政府は、地震対策として金融機関にデータセンターの分散を促している。関西と関東の2つを、関東の場合は郊外に、都内にある場合はしったりした施設をと。
では国会はどうするのか。高台にあるとはいえ、地震の影響は免れない。議員や官公庁からの会議出席をどうするのだろう。国会が重要な役割を果たしていない、だから分散の必要がないとは誰も思っていない。
政府としては、まず企業を首都圏から追い出すべきだろう。何年先までに首都圏から本社の主要機能を地方に移転しないと、高い「首都圏立地税」を課すというような政策である。インターネットでかなりの程度の仕事ができる時代であるから、無理難題ではない。
リアルで仕事をしないといけない場合でも、現在は交通網が発展している。もしも今の交通インフラで足りなければ、それこそ新幹線、港湾、飛行場、高速道路などを新しく造ればいい。
国民は地方に移住すると、以前に書いたように、自然環境に囲まれた広い家に住める。古くから栄えてきた地方の町には、栄えた理由がある。少なくとも水害のリスクが少なかったのだろう。そんな地方の町を活用すればいい。
もちろん、地方の町については、豊かな生活に必要なインフラを整える必要はあろう。とはいえ、それは既存のもの、少し前に廃止されたものの活用で多くは十分だろう。しかも今はネットでいろんな物を買える。用事も済ませられる。豊かな生活のためのインフラ整備は比較的簡単に違いない。
ということで、地方に移住すれば、総合的に国民の満足度が上がるだろう。地方経済の活性化という政府目標も達成できる。
以上は政府としての分散投資でもある。国民という人的資源、インフラや企業などの物的財産を分散することで、洪水、地震、火山爆発などのリスクに対して強靭な国を作るための基本的な初期行動が達成できる。
「金融リテラシー(金融知識)を中高や大学で教えよ」政府は言う。金融リテラシーの大原則の1つは分散投資である。その原則を、わが身に置き換えて考える応用編でもある。
と、友人と盛り上がった次第である。もちろん、友人は災害リスクの少しある場所に住んでいる。だから余計に政府としてのリスク分散政策を訴えたかったのだろうが。

2022/07/25


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