台風が過ぎた近畿地方は再び梅雨に戻ったようだ。梅雨前線はないのだが。今年の天候は「変」続きで気象庁も勘が狂い、梅雨明け(速報)を間違ったか。正式な梅雨明けは確定値として後日発表される。楽しみにしたい。そんな天気の中、仕方なしに簡単な山を歩いた。
雨が降っても傘をさして歩けるようにと、低山というか丘を選んだ。以前から目を付けていて場所である。初冬にでもと思っていたのだが、真夏にその切り札(?)を使ってしまった。
その場所とは奈良県の三室(みむろ)山である。それも同じ日にその2つを歩き、しかもその2つ以外に登る山は「なし」という趣向(?)を凝らした。ついでに実家に寄った。
実家を入れたのには裏がある。三室山は関西本線の王寺駅が最寄りである。「王寺ってどこや」と言えば、法隆寺の南西4キロくらいに位置する。その王寺に京都から行くのは面倒である。近鉄郡山駅に出て、そこから関西本線の郡山駅まで歩くのが一番簡単だろう。だから「ついでに実家にも」となる。
王寺周辺は住宅地になっている。だから適当に歩けば2つの三室山を歩ける。参考にために今回のルートを記しておく。
王寺駅で降り、北口から東西の通りに出る。東に歩き、大和川を渡ると正面に三室山(82m)が見える。裾には住宅が迫り、「これが和歌の三室山かいな」と思える。それはともかく三室山の南側に回り込み、歩道を上がる。神社と林があり、それらしい雰囲気になる。山頂からはまずまずの展望もある。
ほぼ往路を王寺駅まで戻り、そのまま関西本線の西隣の三郷駅まで歩く。駅の西側で再度大和川を渡り、龍田古道に入る。途中で龍田大社に寄り、三郷駅の駅前を通り、龍田古道を大阪側に上がっていく。
三室山周辺は公園になっていて、少し歩くと三角点(137.1m、点名は三室山)がある。龍田大社の神域だったので「三室」なのだろう。実は法隆寺の近くにはもう1つの龍田神社がある。三室といい龍田といい、本家と分家があったのだろうか。
三室山は龍田古道の奈良県側の入口にすぎない。登りはまだ続いている。とはいえ天気が怪しくなってきたし、水分は三室山まで程度しか持参していないし、いずれにしても300m程度の丘で暑すぎる。今回は三角点までとし、龍田古道全体は後日の宿題とした。
後は往路を三郷駅まで戻るだけだった。駅に着いた直後、大雨になった。少し意味は違うものの「嵐吹く三室の山の・・」(能因法師)の句の前段を体感できたように思えた。
上の写真は最初に登った本家の三室山、手前の川が大和川である。下は龍田大社である。風の神とされる。風の神とは「三室の嵐(山風)」の意味だろう。
2022/07/10