川北英隆のブログ

東京国際金融都市のヘソ茶

都市集中の「変なの」で思い出したのが、今も進んでいる東京国際金融センター構想である。東京を世界もしくはアジアの金融センターにしようとの発想である。実は僕もその構想に駆り出された。
思い出すと、東京都が音頭をとった国際金融都市に関するセミナーだった。何年前だったのかは忘れたものの(思い出しても仕方ない)、当時は日本に国際的な金融のコアを作るのもいいなと単純に思っていたので(今もその思いは大きくは変わっていないが)、「東京を宣伝しはしない」との条件を付けてセミナーで少し喋った。
「でもね」というのが当時もそうだったが、今の感想である。そもそも依頼を受けた者に(つまり僕に)何回も時間を取らせた上に、扱いがバカにしていた。昼飯一回だけの駄賃だった。
別に報酬を欲しいとは思わないが、それならそれで「手弁当ですみません」と言うべきだろう。それなら「しゃあないか、日本のために一肌脱ぐか」と納得できる。その一言すらないことからすると、国際金融都市構想は東京都の勝手な妄想から出発しているとしか思えない。
それはともかく、万が一、東京が国際金融都市になったとすれば、それこそ集中に輪をかける。7/25のブログの延長で書けば、発想が時代の流れとミスマッチである。それに、集中するにしても、東京には、世界から人材や資金を呼び寄せるだけの材料がない。円安で国力や個人金融資産残高が一気に何割も目減りした国の首都に、世界がどの程度注目するのだろうか。
有志と「実現しようね」と言っていることを書いておく。すなわち、東京ではなく、京都に国際金融都市を持って来るべきである。もっとも、今の京都市長にそんなセンスがないのは自明であり、それが残念なのだが。
それはともかく、京都にはすぐれた企業がある。日本の平均値から外れた個性的な発想もある。加えて、世界を魅了する文化と景観があるから、S(社会性)に着目した今風の投資にも資する。京都に加え、奈良や滋賀を加えれば鬼に金棒だろう。
以上、日本の本当の価値を一顧だにせず(何も理解せず)、これまでの日本の経済成長の路線から離れられず、「東京にさらに集中を加えよう」という発想の貧弱さ、進歩のなさには、ヘソ茶(ヘソで茶を沸かす)を感じざるをえない。以上、個人的な感想も多分に含まれているが、そうはいっても客観的な評価が大部分を占めた意見である。

2022/07/27


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